豊島逸夫の手帖

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北海道、ロシア軍事侵攻を心配して金を買う人たち

2022年4月21日

円建て金価格が史上最高値圏でも金を買う人が増えている。
理由は様々だ。
例えば九州や沖縄には中国の台湾軍事侵攻を危惧して金を買う人がいるし、日本海側の県では北朝鮮のミサイル着弾を危惧して金を買う人もいる。そして北海道にロシアが軍事侵攻することを恐れて金を買う人もいる。
それぞれ「まさか」のシナリオだが、それが「まさか」と切り捨てることができなくなっている。それほど日本人にとってもウクライナへのロシア軍事侵攻は他人事ではなくなった。プーチン大統領の真意についてロシアの専門家たちがいろいろコメントしているが、ひとつだけ確かなことがある。それは地球上で誰一人プーチン大統領の本音を正確に読める人はいないということだ。習近平国家主席も然り。全体主義国家が独裁者により支配されれば何が起きるか分からず、日本が巻き込まれる可能性があることを思い知らされた。

一方、インフレへの備えで金を買う人も増えている。
まだ日本の物価上昇率は低いが生活実感として物価が上がってきたという感覚に反応しているのだろう。但しインフレを体験として実感しているのは高齢者で、現役組はインフレ未体験だ。ただ量的緩和の号砲の元に、市中にばら撒かれた未曽有の量のマネーが回収されず過剰流動性として残っていることに、本能的不安を感じる人たちは少なくない。特に若手は氷河期世代なので、金について「下がるとすれば、どこまで下がるか」を聞いてくる人が多い。売買益を追求して儲けるというような話には「今どき、そう、うまい話しはない」と警戒する。とにかく老後まで資産価値の目減りを防ぎたいとの思いが透ける。対照的にバブル世代は「どこまで上がるか」とギラギラした目で聞いてくる。「プロなのだから、何か、裏技を知っているだろう。出し惜しみするな」とばかりに迫ってくる(笑)。

セミナー会場の雰囲気も氷河期世代は「金について取りあえず学ぶ」という姿勢なので、まるで予備校の講義みたいな雰囲気でサラサラとメモを取る音だけが聞こえてくる。対してバブル組は「金で一儲け」の欲望が満ち、バブルおじさんたちの発する「がっつり投資フェロモン」が加齢臭とともに会場に満ちる。
そもそも「資産としての金」など、未体験ゾーンなので恐る恐る「金なんてヤバイのでは?でも興味ある」というノリが目立つ。「豊島さんは金の専門家というから怪しい人だと思ってました!でもすごく真面目な方ですね」などとあっけらかんと言われたこともある(笑)。
親子や夫婦で取りあえず様子を見に来たというペアが増えていることも最近の特徴だ。赤ちゃん連れの若夫婦だと赤ちゃんが泣き出すこともあり、慌ててロビーに出てあやすのは大概夫の方だ。妻が熱心にメモを取っている。もうこんな日本は捨ててコロナが収まったらサッサと海外に移住を決め込む若夫婦もいた。「移住するとすればどこの国がいいか」と唐突に聞かれたこともある。
ただ再開された対面式セミナーもここのところの感染再拡大でリモートに切り換えられる事例も出始めた。
リモート形式だとなかなか参加者の雰囲気は掴めないので未だにやりにくい。あたかも太平洋に向かって石を投げている如き感覚になる。

さて、今日の写真は山菜の代表格タラの芽。現地ではボチボチ芽が出始めたとの最新情報。採れたてのタラの芽をサクッと天ぷらにして塩一振りで食する。これはたまらんね~。私は酒飲まないがさすがにこの時ばかりは冷えたビールが旨そうに見えるよ。筆者は無類の山菜好き。採り方も師匠に教えを請い、何とか師範代くらいの域には達したかと自負している(笑)。山形県まで足を延ばすと山菜だけ10種類以上供してくれる専門店もある。旬の季節が短く、現地の人はそれぞれに「秘密の山菜スポット」を知っているので、タイミングを計って今年も山菜狩りに繰り出す予定だ。

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2022年