豊島逸夫の手帖

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イエレン氏、議会でインフレ警告、円安後押し

2022年6月8日

イエレン財務長官が先週CNNの番組出演で「インフレを読み間違えた。」と告白して話題になったが、昨日は議会公聴会で懺悔とも読める発言をした。
「私もパウエル氏も(インフレは一時的と見ていたことに関して)、もっと別な表現があったのではと思っている。」と反省答弁したのだ。
更に、イエレン氏についての人物伝が近々書籍として出版されるのだが、その本の著者が「2021年に民主党案となった1.9兆ドル規模の大規模財政支出について、イエレン氏はインフレ加速が懸念され1.3兆ドルへの減額を論じた。」と書いていることが判明した。

民間エコノミストの中にも民主党の大盤振る舞いがインフレの要因との見解が多い。「要因」とまで行かずとも、少なくとも「一因」となったことは事実だと思う。

市場の視点では、前FRB議長と現FRB議長がインフレを読み誤ったとなると、焦りから金融引き締めを更に強化するシナリオがちらつく。

既にIMFは、物価上昇と不況が同時進行するスタグフレーションのリスクを明示している。「不況」とまで行かずとも、物価上昇と「景気後退」の同時進行シナリオの方がより現実的と感じる。国際金価格が下がっても1800ドル台という歴史的高値圏に留まるのもスタグフレーション懸念が下支えになっている。

加えて、インフレ対応としての利上げが更に強化されるとの読みが、ドル買い円売りを加速させている。既に133円台に突入した。欧州でもインフレが進行して、ECB(欧州中央銀行)も利上げに積極的な姿勢を見せていることが、ユーロ買いを誘うことも円売りを促進させている。ドル買いで売られる通貨として、ユーロより円が選択される傾向が強まろう。オーストラリアも利上げに動き、主要国でまさに日本だけが粛々と量的緩和を続ける(或いは続けざるを得ない)ことが浮き彫りになっている。日本経済の脆弱性が目立つ。思い起こせばそもそもコロナ直前に日本経済成長には強いブレーキがかかっていた。外国人投資家・投機家の円売り選好ムードがコロナ前から既に醸成されていたわけだ。これが将来的に「日本見切り売り」となると150円も覚悟せざるを得まい。

円建て金価格には強い下支え要因である。

さて、今日の写真は最近気に入っている大手町フォーシーズンズホテルのアフタヌーンティー。今月はメロンを色々使ったコース。甘過ぎず、センスが良いので、筆者の定番コース入り。お酒を飲まないので、アフタヌーンティーのセッションが必然的に多くなる傾向。とは言えおっさん3~4人でこういう可愛いメロンコースを囲む景色はかなり笑えるが。

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2022年