2022年12月7日
今日は原油と人民元の話。
人民元の国際化は習近平政権の長期的悲願と言える。IMFのSDR構成通貨として米ドル・ユーロ・円・ポンドに次ぎ、第五の国際通貨として人民元が承認されたことは歴史的第一歩であった。
その後、徐々に、しかし確実に人民元の国際通貨としての地位は上がってきている。国際決済銀行が3年に一度発表する「通貨レポート」の最新版(10月27日公表)によれば、世界の外為市場で売買される通貨ペアの中で、人民元のシェアが前回(2019年)の4%から7%に急上昇した。32%から31%に微減したユーロとの対比が鮮明だ。
このような追い風に乗って、サウジ産原油の最大輸入国である中国が原油売買決済通貨として人民元の選択肢をアピールするには絶好のチャンスが回ってきた。
そもそもサウジは中国にとって原油の最大供給元であり、中国はサウジにとって最大の貿易相手国だ。
「ペトロ人民元構想」の布石として既に2020年には英BPが上海先物取引所で人民元建てにより中東産原油を引き渡すなどの単発的事例は出ている。
更に、今回のロシア産原油60ドル上限措置には、対ロシア経済制裁に反対してきた中国が反発を強めるであろう。自国の金融機関を通じた輸送保険を用いて、上限価格にとらわれないロシア産原油輸入を模索するシナリオもある。その際に人民元建てで決済される可能性がある。
「ペトロ人民元構想」をちらつかせることは中国・サウジが共同作戦で、米ドル一極集中の通貨覇権に風穴を開けるチャンスとも見られる。ロシアも近年はロシア中央銀行の人民元保有を増やしてきた。さすがにルーブルを国際通貨として認知させることは無理筋ゆえ、次善の策として人民元を支持する戦略が透ける。ウクライナ戦争による対ロ経済制裁もロシアの人民元依存度を確実に高めた。
但し、サウジの通貨であるリヤルは米ドルにペッグ(連動)している。ここは人民元を含む複数通貨バスケットにペッグすることが必要となろう。
今回の習近平氏のサウジ訪問でペトロ人民元構想が大きく進展するとは考え難い。しかし中国の長期通貨戦略の視点ではこれまでより明確に継続協議のひとつとして位置付けることが重要な一歩となろう。
さて、W杯サッカーはスペイン対モロッコ戦もPKでスペイン敗退。
PKはトレーディングに似ている。
相手が右狙いか左狙いか(トレーディングなら売りか買いか)、双方の駆け引きの中で決断したら即実行するしかない。
そこには「運」も付きまとう。見ていて他人事とは思えなかった。
それにしても筆者はW杯サッカーとか大谷選手や渋野選手の米国での戦いぶりを見ると、その直後だけは右翼愛国主義に傾くね~(笑)。ニッポン、万歳!!