2022年4月5日
政府専用機でウクライナからの避難民20名が到着した。
難民と言えば、金の世界ではシリア難民が小さな金塊を布ボタンで包み、衣服に纏い、着の身着のまま欧州に逃れたというエピソードがある。
スイスという国も欧州の中心部に位置するので、そもそも避難民の国である。フランスから財産はナポレオン金貨だけを持ち、スイスに逃げ込み、その金貨を元手にレストラン経営始めたというようなファミリーヒストリーが多い。
金は財産の原点なのだ。だからスイスの銀行は金売買を手掛ける。
とは言え、最近の若者は家の宝とされてきた「ご先祖様の金」に思い入れも感じず、相続すればサッサと売り払ってしまう。
さて、金現物需給の話になるが、今の高値圏ではアジアや中東の現物市場において圧倒的に顧客の売りが多く、高値での現物買いは蒸発している。その結果、例えばムンバイ現地では金現物がじゃぶじゃぶに有り余っている。ムンバイの現地金価格をドル建てに転換するとロンドン標準価格より30~50ドルも安い(最近はこの価格差が縮小傾向だが)。ムンバイで積み上がった金の在庫はロンドンに戻される。従って今の金価格上昇は先物買い主導で現物は売り一色だ。経験則としてこのような状況は中期的視点では相場が天井に近い。現物は売り一色、そこに先物買いも利益確定売りに転換した時が最高値圏になる。
とは言え、金現物需給の金価格への影響は年々薄まっている。特に金は金ETFが普及してから金融商品色を強めている。金需給が価格に影響を与えるのは、相場の天井が大底の時期に限られる。その影響もジワリ進行するので目立たない。でも通年で見ると確かに効いている。
今日の写真はインドにて。
筆者が店頭の賑わいの中で商品を持っているのは「銀」コーナー。金価格が高くなると「貧者の金」と言われる「銀」を買う人が増える。
仮に2000ドル前後の金価格が年内続くと、2022年の金需給で「リサイクル」という二次的供給源が記録的な量に達するかもしれない。
日本国内でも円安で円建て金価格が高騰する中、貴金属店は買い取りコーナーが賑わっている。まぁグラム3000円とかで買った人なら売りたくなるよね。