豊島逸夫の手帖

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中国黄金文化

2022年8月18日

中国人はなぜ金が好きなのか。
写真を使って説明してみよう。

まず60億元紙幣。

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この写真は長くブログを読んできた読者には見覚えがあると思う。
筆者が中国大手銀行貴金属部のアドバイザーをしていた頃、行内の展示コーナーで見つけた。
中国にはハイパーインフレの歴史がある。この60億元紙幣は1949年発行。国内内戦激化に伴い戦費も膨れ上がり、紙幣を乱発した結果起きた。下の丸窓には一握りの米が入っており、この紙幣の購買力を示す。このような歴史的体験を経てきているので、国民の間には未だに根強い人民元不信感が残る。この60億元紙幣の裏には紀元前4世紀に使われていたという金貨があった。何せ中国国内で写真撮影はヤバイことなので撮れなかったが、民族的なDNAとして紙幣より金貨という感覚が残っているのだと感じた。

そもそも「中国黄金文化」について説明するコーナーが銀行支店内に掲示されているケースも中国ならでは。

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今は中国政府が新たな貴金属口座の設定を制限・禁止しているが民族のDNAは変えられない。
そもそもこの大手銀行のルーツは上海の両替商だった。その当時の銀行支店が蝋人形館に再現されている。
GOLD AND SILVER MONEY EXCHANGEという看板が分かりやすい。

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上海でのセミナー風景の写真もアーカイブに残っていた。超満員でむせかえるような雰囲気。

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「金で儲けるぞーー」みたいな個人投資家のアニマルスピリッツが充満。質疑応答となると半分以上の参加者が手を挙げ、私を指名してくれと叫ぶ。ほんの数人が遠慮がちに恐る恐る手を挙げる日本のセミナー風景との対比が鮮明だ。金価格が急騰すると日本人は注意深く様子見となりがちだが、中国のセミナー参加者は「ここまで上がったのだからもっと上がる」と考える人が多い。これも民族の違いであろう。

投資については中国人と米国人が同じような特性を示す。対極に日本人がいる。

最近は中国人の若者の間でもゴールドの小間物が人気だ。北京に出稼ぎに来ている若い男性が、国の父へ仕送りをするのに金の指輪を選んでいたことが印象に残る。
中国の宝飾店には「男性向け金宝飾品コーナー」があり、オジサンたちが群がっている。「金の指輪が欲しいーー」というフェロモンを強烈に発していた。日本では考えられない光景に接して中国金需要の奥の深さを体感したものだ。

2022年