豊島逸夫の手帖

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金に関する質疑応答、質問をする方が難しい

2022年11月30日

ゴールドセミナーの後には質疑応答セッションがある。そこで感じることは質問をする方が難しいということだ。最も多いパターンは質問というより自説を延々と語り出すタイプ。MCが割って止めようとしても話し続ける。会場は白ける。

次に多いのは、その人だけ異常な興味を示す話題に執着するタイプ。独りで深堀りして質問を続けるのだが、他の参加者には興味ない話題ゆえ、これも会場が白ける。

あまりに漠とした質問も多い。例えば「パウエル議長の金融政策をどう思うか」。この手のオープンエンドの質問に答えていたら、それこそ日が暮れてしまう。

答える側の筆者が「これは良い質問だ」と思うことは稀である。
初歩的な質問ならば解答はネットでいくらでも拾える。何もセミナーで説明するまでもない。

個人的な質問も多い。自分の資産運用の相談ならFPにフィーを払って聞くべきことだ。

逆にかなり上級の難解な質問には、ついつい筆者も丁寧に答えてしまうのだが、大多数の参加者の目が泳いでいるのが分かる。

一方、リモート形式だと参加者はおそらく自室でジャージ姿で参加しているので、言いたい放題を書き込む。品を欠く質問がひとつでもあれば板が汚れる。

つくづく思うことだが、大多数の参加者は黙って聴講しているので静かだ。サイレントマジョリティーとでも言おうか。

総じてインターアクティブというスローガンが流行っているが、実態はまだまだまともなインターアクティブにならない。
そういうわけで対面式のセミナーの場合は質問があれば予め紙に書いてもらって回収するようにしている。

そう言えばYouTube豊島逸夫チャンネルの更新間隔が空いているがこれには理由がある。NY市場があまりに視界不良なのでまともにポジションをとれず、殆ど超短期売買中心の地合いだからだ。

要は今のマーケットは論じるに足りず。メディアの人たちは気の毒だね、こういう時でも紙面を埋めねばならないし、放送時間中は何か番組を流さねばならない。その点独立系だと何か語らねばならないという縛りはない。とは言え今晩のパウエル講演から雇用統計、CPI、そして12月FOMCと続くので、そろそろ腰を入れて気張ってゆくぜ(笑)。

2022年