豊島逸夫の手帖

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「円建て金価格最高値更新」の注意点

2022年4月11日

円安進行の影響で円建て金価格の上げが急ピッチ。
この高水準から買っても良いものかという質問を頻繁に受ける。

老後に備え長期で地味に買い増してゆくならOK!いずれ長期的には3000ドルに上がる。円安は長期で150円。あくまで「長期」の話だよ。昔からの読者はご存じのように筆者は筋金入りの円安派。自らの資産の半分はドル建てと公言してきた。

対して、短期売買益狙いで高値圏(2000ドル前後)での「金まとめ買い」は悪魔の選択!
現在の金市場環境を見れば、現物需給が歴史的高値圏で緩んでいるが先物・ETF主導で上がっている。
短期的には上げのモメンタムが強いから短期的ロングポジションが多い。

しかし、このロングポジションは金そのものが欲しい人たちではない。ひたすら売買益を追求してゼロサムゲームに没頭する投機家たちだ。誰かが儲かれば、誰かが損をする世界である。虚しい。

今の相場の大天井は、アジア中近東の伝統的現物市場で、買いより売りが勝る中、NY先物市場の買いポジションが一斉に利益確定売りに走る時だ。アジア中近東もNYも同時に売り。これはまだ先の話の中期的な話だが、目安として心に銘じておくべき。

それから最近の市場ではスタグフレーションの可能性が懸念されている。あまり考えたくないが物価上昇と景気後退が同時進行という最悪のシナリオだ。これは金が一人勝ちのシナリオ。景気後退で株価は下げ、物価上昇で債券も目減り。FRBがインフレ退治で後手に回り、インフレは制御不能となり、慌ててFRBが利上げ連発して不況になるシナリオだ。
まさに今のパウエルFRBを見ていると充分にあり得るシナリオでウォール街でも活発に議論されている。
対してパウエルさんが適度の引き締めで、インフレを鎮静化させ適度の経済成長率を実現させれば(これをゴールディロックスと言う)金の出番はない。

さて、皆の衆、パウエルさんを信じられるか、信じられないか。
じっくり見極めよう。

そして、今日の写真は今が旬のホワイトアスパラガス。
日本でも出回っているが、これは何と言っても欧州だね。
ホワイトアスパラ前線がイタリアからドイツへ北上中。

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この写真は日経CNBCのECB(欧州中央銀行)取材でフランクフルトに行った時に食したホンモノのホワイトアスパラガス。とにかくデカい。そして甘い。日本ではまずお目にかかれない。これで一人前。仔牛ステーキとポテト付き。私はホワイトアスパラガスだけでお腹いっぱいに(笑)。
あー、コロナ終わったら行って食べたい。
ちなみにECB本部は超高層ビル。日銀とかFRBとは大違い。何せ多くの参加国の寄り合い所帯だからね。行内の意見調整だけでも大変なこと。

2022年