豊島逸夫の手帖

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パウエル氏との蜜月に終止符?FOMC後、金急落

2022年1月27日

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26日のニューヨーク市場は朝から騒然として入れ込んだ雰囲気が目立った。「今日のFOMC後のFRB議長記者会見は稀に見る重要なイベントになる。パウエル議長のコミュニケーション力が試される。」と著名経済キャスターも興奮気味だった。

現地午後2時半に記者会見開始。
ダウ平均はそれまで前日比300ドル超の高値を維持していたが会見中にみるみる急落。一時は前日比300ドル超の安値を付けた。金は下げが加速。1810ドル台まで急落した。

特に、特定の発言が材料視されたわけではない。
わがままな市場が知りたいことに対する明確な答えがないので、焦れて見切り売りが始まったのだ。そもそも市場側もパウエル議長が利上げ回数やQT開始時期・規模などに関する具体的な質問に答えられるはずもないことは百も承知なので「わがまま」なのだ。
パウエル氏が「かなり利上げ余地がある」と語れば、すわ、年4回以上かと前のめりになる。
「前回のFOMCで3回利上げ予測が中心値であった。その後6~7週間後の今、市場は利上げとQTを織り込んでいる。市場とのコミュニケーションはうまくいっているではないか。」と言われても、もっと明確な答えが聞きたいとばかりに市場は荒れる。

QTに関しては更に突っ込んだ質問も飛んだ。
「かなりのバランスシート縮小を、秩序あり予測できる方法で実行する。」との答弁に金市場には緊張感が走る。
時期に関しては「次回、そして次々回も議論する。もっとお話しできれば良いのだが、現時点でこれ以上話すことはない。」、最後に「I cannot help you」あなたを助けられるのもここまでとダメを押された。

先週来の株価大変動の影響についての質問には「そのような市場の波乱を特に注視しているわけではない。」とすげない答え。市場は拗ねたように更に荒れて見せる。パウエル氏発言に不透明性が感じられるたびに株も金も売りの連鎖が誘発される如き様相だ。

会見後、市場には「FRB議長との蜜月は終わった。」とのほろ苦い感覚が漂う。

振り返ってみれば事前の段階でオミクロン・ウクライナ・原油高=インフレ増幅など、不透明要因が多く、パウエル氏も予定どおりの利上げやQTに動けず、ハト派色を強めるのではないかとの憶測が流れていた。

金市場はハト派(利上げ慎重派)のパウエル氏が見たい。タカ派(利上げ積極派)のパウエル氏は嫌いだ。それが記者会見ではのらりくらり、ハト派とも言えない発言が続いたので、金市場は痺れを切らした。
直接的にはドル10年金利が1.8%台まで上昇してドル高傾向になったことが要因となっている。まず3月利上げは間違いあるまいとの読みだ。

とは言え、まだまだ波乱万丈のパウエル相場である。
今後のパウエル氏がタカ派色を強めれば金1700ドル。ハト派色が混じれば1900ドルと見る。

2022年