豊島逸夫の手帖

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強い雇用統計でNY金は頭打ち

2022年12月5日

注目の雇用統計についてはYouTube豊島逸夫チャンネルの雇用統計ライブでタップリ解説した。

雇用統計ライブ、どうなる、パウエル氏、インフレとの戦い

市場の反応だが発表直後の動きがその後変化した。
ホットな雇用統計にも関わらずドル金利は下落、外為市場ではドル安、NY金は1800ドルを再突破したのだ。

この背景としては11月30日のパウエル講演で利上げペース減速が明示されたことが未だに効いている。

とは言え、労働市場では失業者1人に対して1.7人の求人数という異常な事態が続いている。雇用統計の平均時給も急上昇した。
パウエルFRB議長を困惑させる結果となっている。

結局、利上げ幅は0.75%から減速されても2023年には0.5%或いは0.25%幅が継続されそうだ。その結果ターミナルレートは5%を超え、しかもその高水準は2023年通年で継続される可能性がある。FOMC内ではハト派の主導格であるサンフランシスコ連銀デイリー総裁でさえ「5%を超えた水準が維持される」ことを「上げた状況を留め置く(raise and hold)」と表現している。しかもこの5%を超えるプロセスをパウエルFRB議長は11月30日の講演で「手探り」と語っている。ドル金利が2023年通年で5%超となれば、外為市場の基調はドル高となろう。

更に雇用統計の次の注目はCPIだ。奇しくも12月FOMC初日の12月13日に発表という巡り合わせになっている。雇用統計の新規雇用者数が事前予測より上振れたようにCPIも蓋を開けてみなければ分からない。

なお、筆者が雇用統計後の市場で最も気になるのは逆イールド拡大が加速したことだ。政策金利に連動する2年債は4.3%台、将来の景況感を映す10年債は3.5%台。長短金利スプレッドはマイナス0.8%に接近中だ。この金利格差幅の大きさは異常と言うほかない。

市場は雇用統計後にドル金利水準が下落したことを注目するが逆イールド拡大の方が不気味である。スタグフレーションの可能性がちらつくからだ。ISM製造業景況感指数が50を割り込み49と不況領域入りする中で、FRBが最も重視するPCEインフレ率は伸びが鈍化したもののコアで5%と目標の2%を大きく上回る。
そして逆イールド拡大とスタグフレーションリスクこそ2023年金価格上昇要因となるのだ。

さーて今晩は運命のクロアチア戦。NY市場相場モニターとW杯サッカー中継を同時ウォッチになりそう~。
先日は筆者の日経寄稿記事が堂安選手活躍記事に並び光栄であった(笑)。

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それから暗号資産バブル崩壊について産経新聞に取材されて以下の記事になった。分かりやすくまとまった内容になっている。

https://www.sankei.com/article/20221204-HO62TVBC7BOE7HIIDWO2OOUC5A/

2022年