2022年10月19日
国際金価格が1600ドル台半ばで推移する中、円安は進行。149円台半ばとなっている。本稿がアップされる頃には150円に到達しているかもしれない。日本時間19日夕方にはイギリスの消費者物価上昇率が10%を超え、英国リスクは解消されず、ポンドが売られ、ドルが買われ、とばっちりで円が売られるという展開だ。
さすがに日銀も黙ってはいられない。19日日中には黒田総裁が「円安はマイナスで望ましくない」と発言。円の長期金利が一時0.255%と日銀金融政策で上限とされる0.25%程度を上回る局面もあった。日銀は10年債を無制限に0.25%で買い入れている。市場で売却するより日銀に売却する方が有利になるのだが、近い将来日銀もたまらず金利上昇を容認する政策転換の可能性を市場が意識して、多少不利でも10年債を早めに売る動きが出始めたのだ。日銀と市場の神経戦と言われる所以だ。とは言え日銀の円安対策と言えばこの程度に過ぎない。為替介入も結局3兆円近く使って円相場の140円台半ばを値固めする結果になってしまった。世界的なドル高に逆行する円買い・ドル売り介入はやはり無理筋だ。バイデン大統領もドル高が望ましいと発言している。輸入物価がドル高なら下落するからだ。あくまでインフレ退治優先である。
かくして主要国の中銀がFRBの金融政策に振り回され、各国で異常な経済情勢が発生するという負の連鎖が断ち切れない。通貨戦争勃発と言えよう。
その渦中で国際金価格も下がっているのはひとえにドル金利高・ドル高による。しかし中長期的には通貨戦争により通貨発行体である中央銀行に疑念が生じれば、発行体のない通貨と言われる金が買われることになろう。筆者が国際金価格について短期弱気、中長期強気を貫いているのもこのような背景があればこそだ。
このような市場環境で読者に金に関する質問も増えているようなので、YouTube豊島逸夫チャンネルでブログ読者限定の形で質疑応答も含めゴールドセミナーを開催する運びになった。本ブログで指定URLを発表する。更にそのセミナーの模様は日経マネー金特集で採録される。ニューヨーク・東京・札幌を結び情報が発信される。
さて、今週は引き続き関西出張中。
今日の京都は爽やかな快晴であった。
因みに京都と言えば多数の寺社仏閣があるが、民間金保有も恐らく日本一だと筆者は推定している。ある名刹の住職と対談した時「先の大戦でも金は残りましたなぁ」という話題で、「第二次大戦で空襲を免れましたからね」と応じると、ボソリ「応仁の乱以来ですよ」と。歴史的スパンが異なり、まさに時代を超える資産としての金を象徴するようなエピソードとなった。更に京都の寺社仏閣は入場料収入に依存する傾向があるので、例えば大晦日や正月に雨となるとお賽銭収入が激減するリスクがある。そこで天候デリバティブを利用するようになった。これを分かりやすく説明すれば、甲子園で試合が雨天中止となった場合、大損を被る弁当業者が一定の保証料率で支払えば損失を補填してもらえるというような仕組みのデリバティブ金融商品だ。このデリバティブが導入されるとFXやコモディティーのトレーディングにも参入するハードルが低くなる結果になりがちだ。底冷えするお堂の中で屏風にパワーポイントを投影してマーケットの現況を説明したこともある。ご本尊の裏に通信社の相場モニター画面が据えられていたことが印象に残った。
また、昨晩は久しぶりに祇園の「味のらく山」で大将の味を堪能した。聞けば筆者が無沙汰している間にもブログ読者の来店が相次いでいたそうだ。
昨晩のメニューは、まず海老芋。と言っても関東に出回る海老芋とは似て非なるもの。とにかく旨い。冬の寒さとともに成長して大きくなりクリーミーな独特のまろやかな味になるのだが、実は小ぶりの本物の海老芋は更に旨味が凝縮されることを発見。海老芋は親芋、子芋、孫芋と徐々に増えてゆくのだが、孫芋の美味に目覚めた次第。一方親芋の味も捨て難い旨味がある。これは冬本格の12月待ち。海老芋に口の中でとろけるような大将風昆布巻きのコラボはたまらん(笑)。季節外れの鮎もわざわざ釣られた京都の川近くの天然の水槽で泳がせてきた特注品。この気遣いと手間を惜しまぬ料理人の心には感動したよ。
筆者の来店機会がコロナで激減した間もファンは通っていたワケが分かる。御多分に洩れずコロナの影響をもろに受け、お店も難儀したらしいが今も健在であったことが嬉しい。
なんのかんの言っても、小柄で可愛らしい配偶者(女将)の手のひらの上で強がっている大将の「ご両人」がカウンターで働く様を見てほのぼのしたね。