2022年8月30日
まず、昨日の本欄でジャクソンホールでは黒田発言無しとしたが、ブルームバーグ通信が「黒田総裁はジャクソンホールのパネル討論会後の質疑応答で、賃金と物価が安定的かつ持続可能な形で上昇するまで、持続的な金融緩和を行う以外に選択肢はないと述べた。また日本のインフレ率について、年内は2%または3%に近づく可能性があるが、来年には1.5%に向けて再び減速すると予想していると述べた。」と報道している。
パウエルFRB議長の先制パンチ後に黒田総裁が何を言っても日米金融政策の違いが際立つばかりだ。円安140円台突入も現実味を帯びてきた。
それから、昨日の本欄で「株安と失業増、パウエル議長どこまで容認」について吟味したが、早速ミネアポリス地区連銀カシュカリ総裁から「ジャクソンホール後の市場の反応は『歓迎』との発言が飛び出しウォール街の話題になった。これで我々のインフレ退治に関する本気度が分かったであろう。」と「してやったり」と言わんばかりだ。ジャクソンホール前の市場では「今年は利上げ、来年は利下げ」のシナリオが真夏の株高を誘発していた。今やその楽観シナリオが崩れた。「市場は誤解していた。」と語るカシュカリ総裁は超ハト派であったが、その後超タカ派に転じた。筆者はパウエルFRBの「番頭役」と位置付けている。
市場の神経を逆なでするような発言に市場内では不快感も醸成されている。
とは言え、パウエルFRB内では「株価は基本的に金融政策の変動要因ではない。」との位置付けだ。しかもFRB高官による個人的株投資が批判され、辞任に追い込まれる事例が相次いで起こったばかりだ。FRB高官もうっかり株価に言及するとあらぬ疑いをかけられかねない。
バイデン大統領も株価とは距離を置く。トランプ前大統領が株価を政権の通信簿と位置付け、株価が急騰すると「してやったり」とばかりに記者会見で語ったこととの対比が鮮明だ。バイデン大統領は雇用統計で新規雇用者数が増えると必ず記者会見で誇らしげに語る。
しかし、労働市場の過熱がインフレ要因となると事情は異なる。まして失業率上昇がインフレ鎮静化を映すと解釈されると失業増の評価にもうっかり言及できない。
ジャクソンホールのパウエル講演にバイデン大統領も困惑しているかもしれない。
さて、今日の写真。
北海道のニドムクラシックコースで私とキタキツネの対話(笑)。遠景で判別しにくいけどね。
「バンカーに打ち込んじゃったね。ボール当たらなかった?ところで、このバンカーからピンまで何ヤード?フックライン?」
「知ったことかい」(笑)。