豊島逸夫の手帖

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アウェーの為替介入はもぐら叩き、Xデーは11月2日

2022年10月25日

NY市場での日本の為替介入がウォール街ではどのように見られているか。最も印象的な表現がwhack-a-mole(もぐら叩き)だった。円売り投機家層も多様化しているのだ。
それほどまで市場介入しなくても実勢が今やドル安・円高に傾いているとの見立ても目立つ。

来週11月1~2日にはいよいよ11月FOMCが開催される。
既にブラックアウト期間(FOMC前に参加者が公的発言を控える時期)に入った。FRB高官発言の推移を重要視してきた市場は暗中模索状態となる。前地区連銀総裁など、FOMC体験者たちがメディアに担ぎ出される。今や自由な身ゆえ大胆な発言も見られ市場は神経質になりがちだ。

市場が最も注目するポイントは勿論利上げ。11月は0.75%がほぼ確実視されている。問題は12月の利上げ幅だ。0.75%か0.5%か0.25%か。連続0.75%実施の見立てが多く、市場も織り込みに入ったところで一部のFOMC参加者たちから慎重論が出始めた。ブラックアウト入り直前に最後のFRB高官発言となったサンフランシスコ連銀デイリー総裁発言が、その最たる事例だ。
「政策当局者が利上げ幅の縮小を計画し始めるべきだが、まだ大幅利上げから一歩下がる時期ではない。」
「市場で織り込まれているはずの0.75%の再利上げとなる可能性はありそうだが、いつまでも0.75%だという考えに固執しない方が良いと勧めたい。」

同氏はブレイナードFRB副議長が指名される際に対抗馬として名前が挙がったほどの人物でハト派の代表格でもあった。タカ派に急傾斜するFRB内部に一石を投じたと言える。

他のFOMC参加者からの反論も聞きたかったところでブラックアウト期間入りした。こうなると市場の見解は割れる。
株式市場は目の敵にしている利上げ観測が多少なりとも緩和されれば、それだけで十分な買いの理由となる。
外為市場では連続0.75%利上げを前提としてドルインデックスが114水準まで上昇したところで待ったが入り、ドル買い・円売りの人気トレードは自律反転モードになった。そこで追い討ちをかけるように日本から為替介入が入った。筆者は投機筋にお灸を据えるにはタイムリーな介入と見たが、ウォール街では「わざわざ出張介入せずとも、実勢でドル安に動いていたのに」と冷ややかな見解が聞かれる。

いずれにせよ、FOMC後の記者会見でパウエル議長が「12月利上げについての質問に答える可能性」がある11月2日が、為替介入側にはXデーとなろう。仮に12月以降の利上げ減速が語られれば、ドカ雪の如く積み上がったドル買い円売りポジションが表層雪崩を起こす可能性がある。介入当局は高みの見物となろう。逆に12月も0.75%のシナリオとなれば、一転介入当局にとって正念場となる。NY市場で更に強まるドル買いの荒波にどこまで抗することができるか。

なお、今週金曜日28日にはFRBが最も重視するインフレ指標であるPCEコアインフレ率が発表される。前回は年率4.9%だったが、事前予測には5.2%という数字なども見受けられる。FOMC直前の前哨戦も無視できず、介入当局の臨戦態勢は続く。

それから習近平新体制。市場は香港・上海株安、人民元安で不信任票を叩きつけた感がある。台湾有事が益々現実味を増す。人口14億人の大国が習近平氏と取り巻き数名により操られる。実に怖い状況だ。金市場も中期的に地政学的リスクを無視できず。

さて、今週後半は札幌に出向く。スタジオの都合で27日木曜日午後5時半という中途半端な時間帯だが、ライブで札幌発「YouTube豊島逸夫チャンネル、ゴールド・セミナー」を開催する。ブログ読者だけに告知。多分指定URLを知らせることになるので、そこを通しての限定公開の予定。勿論アーカイブでも残るので後で視聴も可能。

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2022年