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初心者向け「金についての素朴な疑問」に答える

2022年12月26日

欧米市場がクリスマス期間はブログ更新間隔が空いたが、今週からはNY金も2023年を視野に動き始める。

今日は初心者向け、よくある質問に答える編。

1.円安円高で円建て金価格が乱高下するケースは今後も続くのでしょうか
2022年は歴史的な円安進行でNY金の変動は限定的だったのに円建て金価格は史上最高値を更新しました。しかし2023年は市場環境が異なるでしょう。円安局面は多いと思いますが2022年にように0.75%刻みの利上げが連発されることはありません。円安としてもそのスピードは減速します。利上げの効果点検のために0.25%程度で様子を見る局面もありそうです。円高局面もあるでしょう。一方NY金は「利上げ不況」で安全資産としての買いが増えそうです。但し安全資産としての金買いはブーム的現象ではなくジワリ進行します。従って円建て金価格は緩やかな上昇が見込まれます。更にドル政策金利は5%程度の水準で高止まりする状況が想定できるので、金利を生まない金には売り圧力がかかる時期もあるでしょう。こういう相場環境で最も有効な手段は金をまとめ買いせず地味に買い増してゆくことです。基本的に右肩上がりの相場が見込めるが調整局面も厳しいという時にこそ、ドルコスト平均法が最も効率的な購入手段になるのです。
2023年のマクロ経済的な環境は欧州がスタグフレーション、米国は利上げ不況、中国はロックダウンに歯止めがかからず、これまでの天文学的な累積債務がジワリ効いてきます。このような厳しい経済環境の中で金価格のボラティリティー(価格変動性)も高まることは覚悟すべきです。シートベルトを低くきつめに締めて相場に臨みましょう。

2.インフレヘッジとして金が買われると言いますがNY金が下がったのはなぜですか
2022年はインフレが米国経済を直撃したのにNY金は年後半1600ドル台まで下落しました。金はインフレヘッジと言われるのになぜ下がってしまったのか。当然の疑問だと思います。下がった理由はずばりFRBの連続大幅利上げ。2022年3月にはゼロ金利だったのに10か月ほどで4%台にまでドル政策金利が上昇しました。しかし2023年には利上げペースは鈍化します。更に利上げをしたが、結局マグマの如く噴出するインフレのエネルギーを抑え込めなかったというケースも考えておくべきでしょう。欧州同様にスタグフレーションのリスクがあります。米国人にとってインフレヘッジとして物価連動国債も人気がありますが、殆ど発売後瞬間蒸発で宝くじ並みの当選率です。そこで伝統的インフレヘッジである金が2023年は見直されそうです。一時「インフレヘッジ」をセールストークにした仮想通貨が暴落したことでマネーが金へ先祖返りする事例も増えるでしょう。量的引き締めの時代に入りこれまで過剰流動性で覆い隠されていたリスクが次々に露わになりそうです。既に英国年金危機、クレディ・スイスの財務不安など具体的な事例も出始めました。インフレと共振してこのような新たなリスクが加わるとNY金が再び2000ドルを突破するシナリオが現実味を帯びます。2023年はインフレと債務不履行リスクに投資家が備える年となるでしょう。

3.有事の備えの金という考え方は古いのですか
かねてから筆者は「有事の金はもはや古い、金の業者のセールストークに使われるから要注意」と警鐘を鳴らしてきました。しかし今や考えが変わりました。ロシア侵攻、台湾有事、北朝鮮ミサイル連続発射。アジアの中の日本の立ち位置が極めて不安定になってきました。陸続きの国境を持たない日本に初めて本当の「有事警戒意識」が醸成されています。札幌に行けばロシアの北海道侵攻に備えて金を買いたいという話が散見されるようになっています。沖縄や鹿児島では台湾有事の流れ弾警戒が一部では懸念されています。北陸や山陰に行けば北朝鮮ミサイル着弾リスクが絵空事ではなくなっています。いずれも数年前であれば「まさか」のシナリオでした。世界的にも核戦争の危機感が1960年代のキューバ危機後初めて意識され始めました。絶対に起こってはならないことですが備えだけはしておくべきと考える日本人が増えたことを、セミナーで実感しているところです。筆者が語らずとも参加者たちが真剣に問いただしてくるのです。そもそも有事の金とは旧ソ連と米国の冷戦時代に、いつ何時核戦争が起きるか分からないという緊張感の中で、何があっても価値が残る実物資産として金が買われたことから生じた言い回しです。筆者は「煽る」如く言動は努めて自制して有事の金に騙されるなとまで語ってきたわけですが。事ここに及びストレートに有事の金の必要性を説いています。

さて、クリスマスは自宅で自家製アップルパイ!「アップルパイ評論家」を自認しているが(笑)。

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決め手はリンゴ。絶対に「紅玉=こうぎょく」が良い。痛みやすいので最近市中に出回らなくなった。これを探し求めて料理の達人(笑)の妻が時間をかけて作った。はんなりマイ・ホーム・クリスマスだったよ。

今日から筆者もぼちぼち23年相場に向けて始動!日本は休みに入る今週だがクリスマス明け欧米勢いはヤル気ムンムンだよ。こういうメリハリを付けることは相場を見るに重要。

2022年