豊島逸夫の手帖

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FOMCを控えた相場

2022年7月26日

今週は7月26、27日に開催されるFOMCがメインイベント。日本時間28日早朝のパウエルFRB議長記者会見はNY市場の大引け前になるため、市場の本格的反応は日本時間28日夜のNY市場まで待たねばならない。時系列では28日の東京市場がFOMC第一波の影響の受け皿になるはずだが、実態は日本市場に流動性が乏しく、そもそも全てがNY市場次第という情けない状況なのだ。株でもドルでも金でも第一波の反応は信用できない。過去にも第二波が強烈に逆方向に出たことは珍しくない。

日本株だけではなく円相場も、その売買の7割は外国人プレーヤーだ。日本市場は単に取引の場を提供するだけ。結局日本人が寝静まった深夜にNY市場でドル・円が大きく動く事例が多いわけだ。

日本人の得意技は後講釈。何だかんだ理屈をこねて説明してみせる。それが分かってるなら、何で自分たちで動かなかったのかと言いたくなる。例えば今回の円安にしても昨年10月に日経の筆者コラムで「米ヘッジファンドが円を標的にしている」と最初に書いた時、日本市場では相変わらずの「膠着相場続く」との見方が大半であった。結局NY市場に人的ネットワークを構築できていない、或いはNY市場の中に入れていないことが露わになる結果となり、後追いばかりであった。コロナ前に筆者がNY出張して日本企業のNY支店や支局の人たちに招かれると、必ずマンハッタン中央にある日本料理屋に連れて行かれる。そこには日本人ディーラー、日本人駐在員、日本人記者たちが集い、傷を舐め合い、情報交換している。NY駐在といっても2年程度ゆえ自分の社内履歴のひとつの段階として無難にこなせばOKという感覚だ。共通しているのは英語が不得意。筆者はブルームバーグ(プロ専用端末)でもコラムで情報発信しているのだが、その読者の殆どは海外の日本人駐在員だ。「豊島さんのコラムを読んでおけば、今、何が起きているのか、本社に報告できるので助かります。」と言われると唖然とするばかりだ。FOMCにしてもパウエル記者会見には各国メディアの担当者が出席して、質問をパウエル議長に浴びせるのだが、そこに日本人が見当たらない。日本人記者が質問に立つのを見たことがない。偉そうなことを書いているだけに内弁慶ぶりばかりが目立つ。欧米メディアは年齢序列などには拘らず、20代女性記者が質問で食い下がる。ジェローム・パウエル氏を「ハイ!J(ジェイ)」と気安く呼ぶ。もし日銀総裁記者会見で若い女性記者が「ハイ!クロダさん!」などと呼びかけたらどういうことになるだろうか。日銀記者クラブに所属することは記者にとってステータスで黒田総裁との「禅問答」を得意がる姿を見るに付け虚しさを感じる。米国はマイノリティー(少数派)を重視するから、日本人だと名乗って出れば必ず指名されるはずだ。指名せねばマイノリティー無視との批判を浴びるだろう。

さて、今日の札幌は晴れ。最高気温28度。これでも暑く感じる。筆者の仕事は夜のNY時間が中心ゆえ午後はゴルフ。昼食休憩の無いスルーでプレーが札幌流だ。時間を有効に使えて、ONとOFFのメリハリがつくのも、仕事の効率が良くてありがたい。

2022年