豊島逸夫の手帖

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金は現物を長期保有せよ

2022年8月17日

これは私の変わらぬアドバイスだ。
金投資という言葉は好まない。「貯」金が本筋だ。金ETFも現物の裏付けがあり、現物と引き換えができるタイプは「現物保有」だ。

今年の円建て金価格の急騰により、財産中の金への配分率が40%を超えてしまったという御仁も少なくない。ここは投資理論としてはリバランスの売りで配分率を減らすことが考えられる。まぁ40%を30%に減らすことはひとつの選択肢だ。しかしこればかりはその人の年齢、資産額、家族関係などを勘案せねば決められない。一概にxx%と同じ配分率にはならない。実際にスイス系の銀行でも顧客次第で、例えば5%と勧めるかと思えば30%もOKというケースもある。日本人は受験戦争の影響なのか、ひとつの「正解」を求めたがる傾向がある。機関投資家はポートフォリオシミュレーションで理論値を決める。筆者も米国のウォートンというビジネススクールに派遣されて「近代ポートフォリオ理論」を学んだが、現場では全く役に立たなかった。後講釈だけは上手くなった。知識が多ければ儲かるというほど簡単な話ではないのだ。因みにスイス銀行チューリッヒ本店のトレーダーの半分は高卒であった。

それゆえ、筆者は常に「かけ湯」に例え、熱い風呂に本格的に入る前に、1年ほど「かけ湯」感覚で少しずつ買い増してみることを勧めている。その後で熱い風呂に浸かっても決して遅くはない。投資はマニュアルで学ぶものではない。

「かけ湯」と言えば、最近筆者はパウエル議長の金融引き締めを熱い温泉風呂に例えている。消費者物価上昇率が8%を超えるほどの熱い湯を温度40度程度にするには冷たい水で薄めるしかない。この加減が難しい。水を入れ過ぎれば冷めた温泉になってしまうし、入れ足りないとまだ熱過ぎる。結局冷め過ぎたり、熱過ぎたりを繰り返し、適温の40度程度に落ち着かせることになる。適温経済という経済専門用語があるがまさに言い得て妙だ。適温経済になれば金の出番は減る。パウエル議長はインフレか、適温経済か、デフレか、それぞれの可能性に目配りしつつ利上げや資産圧縮(QT)を決めてゆくのだ。難度は極めて高い。

さて、お盆も終わった。昨晩TV中継で大文字の送り火を観た。3年ぶり。やっぱり「いいね~」、心が落ち着く。

そして、お盆が終わったのでそろそろ帰札。8月いっぱいはまだ札幌サテライトオフィス。
真狩村食堂の新鮮な野菜が食べたい。東京のスーパーの所謂「野菜」とは似て非なるもの。人参、キャベツ、ピーマン、どれもパリパリ、コリコリ、食感が違う。特にジャガイモは絶品。ドレッシングなど不要というか邪魔。そのままかぶりつく醍醐味。スペアリブも素材でこれほど違うものか。都会に住む者には新鮮な野菜が最高の贅沢だ。

3561a(野菜).jpg

3561b(スペアリブ).jpg

一方、YouTubeの方は豊島逸夫チャンネルを立ち上げ好評だが、当方が未だ不慣れゆえ試行錯誤中。今日はパワーポイントを画面に挿入するOBSというアプリを試したが敢え無く失敗。豊島逸夫チャンネルのページにNYMEXフロアでの筆者写真だけの空配信が残った。

2022年