豊島逸夫の手帖

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この株高、ドル安、金高を信じられるか

2022年10月5日

二日連騰のNY株。為替はドル反落気味。その結果の金反騰。これはホンモノか。

結論から言うとパウエルFRB議長の金融政策に変更はなく、米国の利上げに他国の中央銀行が利上げ或いは介入で対応する構図も変わらない。金に関してはインフレという買い要因と利上げという売り要因が交錯する構図に変わりはない。たまたまドル金利安・ドル安に振れたので1700ドルを突破した。来年は利上げ不況で買いという見解も変わらない。

そして今回の株高は壮大なショートカバー(空売りの買い戻し)。それほどに先週までショートポジションが蓄積していた。アップルが最大のショートポジションを抱える銘柄という場面もあった。先週米国西海岸で開催された「投資会議」でも、ショートのキング(空売り王)のような人物の講話に聴衆が聞き入っていた。

そのような流れの巻き戻しが集中したベアーマーケットラリー(弱気相場の中の反騰局面)との位置付けが圧倒的に多い。まともなファンドは買いそびれている。CTA(コモディティートレーディングアドバイザー)とかアルゴ系とか言われる超短期筋が動いている。デッドキャットバウンス(死んだ猫が跳ねること)という猫好きの筆者には堪らない表現が行き交う。血の気が多く、アニマルスピリッツ丸出しのトレーダーたちだ。
株買いに一応の理屈は付いている。
3回連続0.75%利上げの効果点検のため、11月の利上げは0.25%或いは一回休みで様子を見るべきではないか。FRB高官発言でも、概ねパウエル路線の追認でも、「失敗するリスクもある」という件だけが切り抜かれ市場内を独り歩きしている。クレディー・スイスの一件も真相は闇の中だが、クレジットリスクに対応するための緩和が必要との議論が出やすい。トラス英首相の減税案一部撤回のケースでは英国の金利反落がNY市場に直ちに伝播した。不安心理の伝染とも言える。
結局株を買う理由付けは薄弱だ。モメンタム(市場の勢い)主導と言える。

同様にドル売りもドカ雪の如く積もったドル買いポジションの表層雪崩に過ぎない。根雪はドル高だ。
今週末には雇用統計、来週はCPIと重要な経済指標発表を待ちきれず、一人がフライングでプールに飛び込んだら、慌てて他のスイマーも飛び込んだ如き様相である。
ここは冷静な投資家対応が必須だ。

以下は今日朝イチでライブ配信したYouTube。

米国株価連騰、この上げ信じてよいのか、円高も気になる、朝イチで緊急ライブ配信

こういう形で雇用統計ライブ、CPIライブも行うよ。

2022年