豊島逸夫の手帖

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きな臭い地政学的リスク、原油市場を直撃

2022年1月19日

イエメンの親イラン武装組織フーシ派がUAEにドローン攻撃を仕掛け3人を殺害した。更にUAE内のアブダビの石油施設の燃料輸送車を直撃。場所はアブダビ国営原油会社の原油貯蔵・流通センター施設の近く。アブダビ中心部から僅か20キロ程度の至近距離にあった。
フーシ派はペルシャ湾岸の国際的ビジネスのハブであるアブダビの心臓部を狙ったのだ。
そもそもUAEはサウジとイラン、それぞれに微妙な距離を置く国だ。原油市場でも特異な存在にある。そこをイランと親イラン武装組織はドローンで攻撃したわけだ。
危ない火遊びが大火事を招くリスクがある。

その他、様々な理由で原油価格は85ドルと2014年以来の高値を付けた。
ゴールドマンサックスは原油価格120ドルを予測する。
そうなるとインフレ加速は必至だ。
原油暴騰→インフレ亢進→金高のシナリオもちらつく。
原油高騰→インフレ亢進→株安のシナリオもある。
18日NY市場でのドル金利急騰、米国株急落を受け、19日の日経平均も790円急落した。

実にきな臭いマーケットだが金は相変わらず1810ドル台のレンジ内にある。何が起こっても価格が大きく動かないので安全資産とも言える。膠着というとマイナスイメージだが、それは短期売買の投機家の話。長期保有者には他の資産価格が大きく振れている中で、一定の価格水準を維持できることは安心感がある。

2022年