豊島逸夫の手帖

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今年利上げ、来年利下げで金安反転も

2022年7月27日

7月FOMCも、いよいよ日本時間28日早朝に結果が判明する。

パウエルFRB議長の意志は固い。明確で説得力のある(clear and convincing)データの裏付けがない限り、利上げペースを大幅に変更することはない。市場も覚悟している。今回7月は0.75%とか、9月も0.75%の可能性など、毎回の利上げ幅予測に一喜一憂する状況ではない。年末の政策金利水準が重要視される。既に市場は3.5~4%のレンジまで上昇を見込む。

その上で、現時点で市場が最も注目することは、FRBが来年のいつ頃利下げへ金融政策の舵を切るか。
これまでは米国労働市場が極めて強いので、米国経済の利上げ耐性力は堅固との判断がFRB金融引き締めの理論的根拠であった。

それゆえ、仮に雇用統計で月次新規雇用者増加数が10万人以下である状態が3か月続き、新規雇用者数が減少の月も出始めると、これは無視できまい。

現在の失業率3.6%が4%を大きく上回る月が連続すれば、明らかに労働市場に異変との解釈となろう。平均時給の流れも重要だ。現在の年率5%水準から4%を下回る月が続く可能性が強まれば、FRBの判断も揺れるであろう。賃金インフレは最も執拗な部分なので、ここが動くと市場がざわつくのは必至だ。更に新規失業保険申請者指数も先行指標として既に異音を発しているが、例えば4週間以上大幅な増加が続けば、労働市場に黄信号点灯と見做されよう。

次に、米国GDPの7割近くを占める個人消費と住宅市場は既に萎縮傾向が顕在化しつつある。個人消費関連統計を見るに、消費者が見る将来のインフレ率が既に頭打ちから下落傾向に入った。パウエル議長はNY連銀消費者サーベイなど、消費者目線でのインフレ感を重視している。更に住宅市場に至っては深刻な悪化という見解がほぼ定着した感がある。

これらの要因を吟味した上で、FRBが四半期ごとに発表する経済見通しに含まれるドットチャートの2022年12月版と2023年3月版の変動が極めて重要になる。FOMC参加者の金利予測の中央値が2%以上低下すれば、利下げが切迫感を帯びることになろう。市場の反応としては金反騰が見込まれる。金市場も緩和への転換を誘発する経済悪化材料探しとなりそうだ。

但し、仮にそうなれば日本人として気になる円安傾向にも潮目の変化が見込まれる。円安のスピードが速かったゆえ円反騰が急速に進行しそうだ。既に円売り仕掛け人のヘッジファンドは出口模索を開始している。

2023年利下げまでのプロセスを俯瞰すれば、7月FOMCでの利上げは前座に過ぎない。

さて、昨晩はまたアグリスケープに行ってきたよ。週一ペース(笑)。
まず、広大な自家農園内で今日採れた野菜の数々を見せてくれる。「これらを使って何が出るの?」と期待が膨らむ。

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8品の内、ふたつを紹介。
まずお椀状に入っている緑色は春菊のムース。その下に北海シマエビ。このコラボが絶品だった。

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そして黄色の花はアナスタシア。花言葉は「高貴・高潔」。フラワーセラピー効果として「涼血解毒作用」があるとされる。アボカドのムース。自家製燻製ハム。

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今、札幌のフレンチトップはアグリスケープかミュゼか。
帰りがけにまた来週の予約を入れたよ(笑)。
さて、今日はFOMCでガンガン仕事の日。徹夜体制。仕事と遊びにはメリハリをつけて。

2022年