豊島逸夫の手帖

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円高50円説が真剣に議論された時代

2022年9月6日

筆者のアーカイブを整理していたら2011年発行の日経マネームック本が出てきた。

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時代の差を感じるのは巻頭対談のトピック。
ひとつは、プラチナ・パラジウムは同じ値段になる!?
当時のGFMS社ポール・ウォーカーとの対談。

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もうひとつは、1ドル=50円説はアリでしょうか?
筆者の家族ぐるみの友人である尾河眞樹君との為替対談。

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まず、プラチナはその頃790ドルから2200ドルまで上昇していた。対してパラジウムは180ドルから500ドルへ上昇していた。ふたつの白系貴金属の価格差から見て、プラチナとパラジウムの価格がパリティー(同じ価格)になるなど誰も考えもしなかったので、当時のGFMS社ポール・ウォーカー氏の見解は新鮮であった。

彼の説は、プラチナは供給過剰が続き、パラジウムは供給不足が(当時で)16年間も続いているという論拠に基づいていた。「プラチナ鉱石に含まれるパラジウムやロジウム、イリジウムの価格が急騰すればプラチナ生産は増える」と断定していた。「最も成長が見込めるのはパラジウムとロジウム」と2011年に読み切っていた。その当時の市場で彼の予測は「キワモノ扱い」であった。銀、プラチナ、パラジウムは市場が小さいから価格変動も激しく、今の市場の常識は長期的に通用しない。貴金属市場のプロたちが皆外しまくっている。昨年のプロ対談の「失敗談を披露」するコーナーで、筆者も池水君も「プラチナがここまで金価格に比しディスカウントになることは見通せなかった」と謙虚に反省したところでもある。それだけにポールの慧眼が光る。

次に、円高50円説。冗談みたいな話だが当時は真面目にその可能性が議論されていた。筆者も尾河君も「さすがにそれはない!」と否定したが、読者の間では根強い円高論が唱えられていたことを思い出す。尾河君が「76円25銭の段階で協調介入が入った」ことは効果があったと発言。当時から筋金入り円安論者であった筆者は「1ドル50円説など本を売るためのキャッチフレーズ程度にしか受け止めていない」とバッサリ(笑)。個人的には協調介入の時の相場でドル預金したが、まさか10年経って140円まで付けようとはさすがに想定はしていなかったね。先日のNIKKEI「マネーのまなび」ゴールド編(YouTube)でもこの話題になって、筆者がさすがに一部は利益確定しようかなどと呟いている。その後まだ動いていません(笑)。まずは今後の海外出張の時には、このドル預金のおかげでラーメン2000円とかにはならない~。

なお、今日の日経新聞朝刊全国版(東京版は34面)の連合広告に金について取材談話が載っている。

2022年