豊島逸夫の手帖

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本欄ドル金利5%超予測、米経済紙も同調

2022年12月6日

5日のウォールストリートジャーナル紙にはニック・テミラオス記者の「政策金利5%超」観測記事が載り、米株下落の要因となった。たまたま筆者も5日本欄で5%超観測を明示したが、これまでのFRB高官発言を丁寧に精査していれば、結局は同じ結論に達するということだ。FOMC初日である12月13日に発表されるCPIでちゃぶ台返しがあり得るとの点でも一致している。

なお、筆者は最近耳にする一連のFRB高官発言で、FOMC内部に亀裂が生じつつあることも懸念している。9月FOMCの際には参加者19名の中で17名という大多数が、年末政策金利を4.125%から4.375%のレンジに収まると予測した。近年稀に見る「ほぼ全員一致」だ。それが12月FOMCではかなり見解がばらつくことが必定の情勢になっている。根回しには熱心とされるパウエル議長がどこまで内部意見を調整できるか手腕が問われる。セントルイス連銀ブラード総裁に至っては「タカ派シナリオでは7%まであり得る」とまで断じた。同氏は昨年から一貫して、当時としては「極論」を相次いで唱えてきたが、結果的には同氏の見解どおりの展開になった事実は軽視できまい。

更に、仮に5%超に切り上がったとして、その高金利水準がどこまで継続されるかについて、筆者は2023年通年とした。前回9月発表のドットチャート(FOMC参加者の金利予測分布)を見れば、中心値が2022年末より2023年末の方が高くなっているからだ。しかしCMEのFEDウォッチ(市場が見る政策金利予測)では、2023年後半に政策金利のピークを付けた後で、利下げに転じる(pivot)シナリオを想定している。民と官で見解の相違が鮮明だ。

民は強力な利上げ政策の副作用として不況入りは不可避ゆえ、2023年後半にも金融政策は引き締めから緩和に転換すると読む。

対して、官の側にはインフレの抑制の手を緩め、ぶり返してしまった苦い体験がトラウマとなって残っている。それゆえおいそれと緩和への転換はできかねるとの考えが根強い。FRB高官発言でも「政策転換など議論のテーブルにも載っていない」と一蹴している。

逆イールドに関しても民は不況の兆しとして気味悪がる。対して官は逆イールドなど是正することは可能と考える。例えばコアPCEインフレ率が3%にならなければ、利下げは行わないとの「フォワードガイダンス」(金融政策の方向性を明示すること)を出せば、政策金利に連動する2年債利回りに一定の上限を事実上課することは可能だ。

かくして、逆イールドという異常現象に関しても、官と民のせめぎ合いは続く。

来週に12月FOMCを控え、既にブラックアウト期間に入っているので、今週はFRB高官発言がない。11月30日のパウエル講演が最後の公的発言として残る。同発言直後には最近では稀なパウエル議長のハト派的側面が市場では歓迎されたが、週明けにはその楽観論も後退している。

パウエル議長は今後の政策金利決定について「手探り」と語ったが、市場は「パウエル議長は我々が知らない何かを知っているのではないか」と疑心暗鬼を募らせる。
この神経戦は12月13日まで続く。

金価格も1700ドル台後半で乱高下が続く。

さて、W杯サッカー日本代表は無念のPK負け。
しかしこの悔しさこそ、更なる高みを狙う力になる。
筆者の好きなゴルフの世界でも東京五輪で銀メダルを獲得した稲見選手のエピソードがある。
未だジュニア時代の頃に競技に負け、皆が終了後はしゃいでいるのに、一人壁に向かってブツブツ言っていた。コーチがそれとなく聞いていると「クソッ、今に見ていろよ!」。
これだよね。この悔しさを感じなければ、大物にはなれない。
相場にも共通点がある。

2022年