豊島逸夫の手帖

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ウクライナ原発砲撃の衝撃、深夜のNY市場も直撃

2022年3月4日

NY市場は深夜時間帯に入るが、現地市場関係者が騒然としてアジア市場の反応も見守っている。

プーチン大統領が核兵器使用について更に踏み込むタイミングとして、ロシア国債のデフォルトが挙げられていたからだ。
折からロシア国債の格付けが「投機的」水準に引き下げられ、デフォルト懸念も高まっていた。
その矢先のウクライナ原発砲撃だ。
NY市場は時間外だが、まずは情報確認を急いでいる(4日午前執筆)。

既にポートフォリオも有事対応で米国債・円・金などの安全資産に逃避しているケースも多い。

日経平均は600円超下げ。25000円台に突入。ダウ先物も時間外で300ドル超急落中。

国際金価格は一時1950ドル近傍まで急騰後、急落している。

米国債は2日に買いがピークに達し、一時10年債利回りが1.6%台まで急低下した。しかし3日には売り戻しも入り、利回りが1.8%の大台を回復していた。その矢先の原発砲撃ゆえ日本時間午前中には時間外取引で、1.85%から一気に1.75%近くまで急落する場面もあった。米国債市場もウクライナ情勢に振り回されている。

今晩は雇用統計が発表されるのだが、最近は前月分の大幅上方修正も続き、事前予測も大外れのケースがあり、統計指標としての適性を疑問視する声も少なくない。それゆえ相対的に地政学的リスクの重要度が高まっている。

パウエル議長も2日、3日の議会証言で、3月利上げを明言したものの、ウクライナ情勢について聞かれると「注視している」、「大きな変化がなければ利上げする」などと条件付きの発言に終始していた。
その直後の事態急変だ。
2日目の議会公聴会では「ウクライナ情勢について諜報部門と情報を共有しているのか」と突っ込まれる場面もあった。
パウエル議長も情報確認を急ぐと思われる。FOMCは3月15、16日に迫っている。

2022年