豊島逸夫の手帖

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想定外のFBI発表、世界が東京市場を注視

2016年11月7日

週明けの円相場は104円台まで円安が進行している。

コミーFBI長官が、クリントン氏の新たに発覚したEメールを全て精査した結果、「結果は変わらず」と議会に書面で通告した。

本選2日前のこの発言が、クリントン氏有利に働くと見られる。

トランプ・リスクは、後退するが、まだ、趨勢は流動的だ。

市場は日本時間月曜早朝で、取引量が薄い時間帯にこの報道が流れ、一気に103円前後から104円前後まで円安に振れた。

2日付け本欄に書いたように、ヘッジファンドはコミーFBI長官の本選直前爆弾発言を警戒していた。

とはいえ、大統領選は、最後まで分からない、という状況は変わらない。クリントン氏は健康という、もう一つの問題をかかえる。アンチ・クリントンの投票者が、これで、即考えを変えるとも思えない。

不信感は根強い。既に期日前投票もかなりの数に達する。クリントン氏としては、被告席で無罪を宣告され本選に突入するより、ポジティブに選挙戦を終えたいはずだ。

いっぽう、トランプ氏は、この新展開を受けて、クリントン氏への「口撃」を強めるは必至であろう。大統領選挙が「操作」されているとの持論を強調して、選挙結果を受け入れないと繰り返す可能性もある。

市場は、大統領選直前に、円安株高に動きつつ、用心深く推移を見守っている。

トランプ・リスクで急騰した金は当然急落。1300ドル割れ。ただ、クリントン「大統領」になっても、不信感は払しょくできず、下げは浅いだろう。トランプ氏でもクリントン氏でも、ドル安政策である。

日経5日土曜日朝刊3面の「投資マネー、金・円など安全資産へ」の記事で、「トランプ氏になれば一日で100ドル上がる」との私のコメント。英EU離脱で、一日70ドル上がったからね。しかし、そういう急騰の後には必ず急落となるのが相場の習性。個人投資家はうっかり乗らないほうがいい。

そして、今週号の日経ヴェリタス「豊島逸夫の逸′sOK!」では、「プロは反省が足りない」という見出しで書いた。

週刊現代では、日銀記事の最後のほうで、米利上げについて、コメントしている。

2016年