豊島逸夫の手帖

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米雇用統計を読む勘所

2016年6月3日

ECBも日銀も金融政策の「道具箱」の中が残り少なくなってきた。こうなると、頼みは「米利上げ」によるドル高、ユーロ安、円安。

「通貨安競争」の誹りを受けず、自国通貨安を実現できる。

今晩発表の米雇用統計も、良い数字が出て、利上げ環境が整うことを願う気持ちであろう。

特に、日本の視点では、参院選までに2回の雇用統計発表がある。

最近は、一般メディアも米雇用統計を速報で流す事例が増えてきた。円安ならアベノミクス支持、円高なら不支持の要因となる。

伊勢志摩サミットで「世界経済リスクで合意」を消費増税延期のお墨付きとしたので、今回の選挙予測には、グローバル動向も見逃せない。

そこで、今晩の米雇用統計を見る勘所を押さえておきたい。

まず、非農業部門新規雇用者数だが、判断基準値が20万人前後から15万人程度でも「可」にシフトしている。完全雇用に近づけば、新規雇用者数も減って当たり前との見解だ。仮に、10万人までの急減となれば、「ヴェライゾン社3.5万人ストライキの影響」で一過性とされる可能性もある。サプライズがあるとすれば、前月、前々月の大幅修正であろう。

次に注目の賃金=平均時給だが、この数字は構造要因に根差すので、6か月から1年の傾向値を見ないと判断が難しい。月次であまり大きく振れると「統計的な外れ値」とされがちだ。とはいえ、総じて、昨年よりは上昇傾向も見られるので、利上げの強い阻害要因とはなりにくい状況だ。

イエレン氏は労働経済学が専門ゆえ、より厳しく見る傾向がある。しかし、総ての統計数字が利上げ青信号を示すようなことは非現実的だ。ここは、イエレン氏に、エコノミスト的判断より、経営者的判断が求められる。厳しくエコノミスト思考を通せば、いつまでたっても追加利上げ決断はできない。

いずれにせよ、「夏までに追加利上げ」とのイエレン氏の御託宣を覆すほどの数字が、今回の雇用統計からは出にくいようだ。

金市場は徐々に利上げ耐性が出来てきた。売り圧力はかかり、1200ドル割れの局面もあろうが、下値は浅い。

プラチナが下がっているが、利上げ=ドル高で商品が売られている。

商品市場はドル安ではなくドル高を読んでいるのだ。

さて、来週はNY。

かなりタイトなスケジュールだけど、時間見つけてブログ書くよ。

そして、今日の写真は花。

まず、近くの神社に咲く菖蒲。

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次は、浅草の植木市「お富士さん」で買ったラズベリーの花。実が本格的に生るのは来年だな。ついでにサクランボの木も買った。

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そして、二階から見た我が家のデカい紫陽花。植木屋のオジサンは、圧倒されている隣の紅葉に同情していた(笑)。

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2016年