2016年9月21日
日銀「長短金利操作つき量的質的金融緩和、イールドカーブ・コントロール導入」の報は瞬時に世界の市場を駆け巡った。
「小康状態にある中国経済より、目先は日本経済が心配。」
ヘッジファンドの間で最近よくきかれるコメントだ。
それゆえ、今回に限っては、FOMCより日銀金融政策決定会合に欧米市場の注目が集まっている。
「日銀にとって、欧米市場で失われた信頼回復のラストチャンスゆえ、動かざるを得ない。(must)」との切迫感も指摘される。
市場への影響としては、債券市場に関心が集まっていることも今回の特徴だろう。
いまや、日米国債市場の連動性が高まりつつあるからだ。日本長期国債の利回りが、短期債に比し相対的に高くなることで、米国10年債の利回りにも上昇圧力がかかりやすい。いっぽう、十数時間後にFOMCが利上げを先送りすれば、ドル金利には下げ圧力がかかる。乱気流が発生しやすい市場環境ゆえ、ヘッジファンドには草刈り場となろう。
俯瞰すれば、主要中央銀行の量的緩和政策により、巨額の国債が公的マネーにより買い占められてきた。いわゆる債券バブルへの反省モードで、国債市場では売りが目立つ。その結果、長期国債の利回りは上昇傾向にあり、債券バブル終焉を告げる利回り乱高下に市場は神経質になっている。
そこに、日銀はイールドカーブが立つ方向に誘導する政策をとるので、短期債より長期債の利回りに上昇バイアスがかかる。
かくして、上げと下げの流れがせめぎ合い、投機マネーが流入して、乱気流が増幅されやすい地合いだ。
日本発の債券市場波乱が続きそうである。
初期反応としては、マイナス金利据え置きで金融株が上がり、株価指数も上昇。外為市場では円安に振れている。しかし、今夜のFOMCで利上げが先送りされるとドル安に振れるので、まだ判断は尚早だ。金価格も、ドル相場次第となろう。1300ドル台は堅い。