豊島逸夫の手帖

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ミセスワタナベ対ヘッジファンドの仁義なき戦い

2016年11月24日

ドル円112円台のドル高モードで、金は売られ1180ドル台に。

今週発売の日経マネー別冊「金プラチナ特集」でも、為替が110円になれば1200ドル攻防と書いたが、想定よりスピードが速い。

しかし、以下に書いた原稿のとおり、中期的には、ドル買いの波も鎮静化しよう。2017年の金価格は、1~3月が最安値となりそうだ。1200ドル割れには、中国・インドから実需買いが入るは必然。1300ドル台では徹底した模様眺めだったので、かなり潜在的現物需要はたまっている。

円建て金価格には、円安の値上げ効果も強く働く。アベノミクス相場のときに、円の独歩安でNY金価格が急落したのに円建て金価格は高値更新したときを想起させる。

そして首題の今日の原稿。

「日本の個人投資家は逆張りのドル売り・円買いのポジションと聞いているが、そろそろ限界ではないのか。」

ヘッジファンドがミセスワタナベの動きをフォローしている。

今回の円安はヘッジファンド主導。大統領選挙前の、ドル売り円買いのポジションを「倍返し」でドル買い・円売りに転換。その後、「出口戦略」の機会を虎視耽耽と狙ってきた。超短期売買のCTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザー)が、モメンタム(勢い)に乗って110円の大台からも円売り・ドル買いを続行するなかで、本流のグローバル・マクロ系は、トランプ政権経済政策不透明の段階で、円売りポジションを長く持つ気はサラサラない。

そこで、無視できないのがミセスワタナベの動きだ。

日本からの報道で、逆張りの様相と伝わっているので、どこまで、持ちこたえられるか、興味深く見守っている。

Squeeze スクイーズという単語に、何やら、仕手筋が個人を締め上げるごとき目論みも見え隠れする。

「有事の円買い」になりかねない12月4日のイタリア選挙までには、とりあえず、円売りポジションを手仕舞いたいようだ。

中期的には、トランプ政権が、保護主義を実行して、ドル安を志向するシナリオも消えていない。そもそも、ここまでドル高が進行すれば、商品価格も下落して、トランプ氏当選をもたらしたラストベルトに逆風となるは必至だ。

長いスパンで見れば、ミセスワタナベのほうが、市場の底流を感じとっているのかもしれない。しかし、足元のポジションは、かなりの含み損をかかえているようだ。

ヘッジファンドのドル買い円売り対ミセスワタナベのドル売り・円買いの構図は、早晩、結末を迎えよう。

トランプ相場の光と影が浮き彫りにされそうだ。

そして、今日の写真。

まず、フィギュアスケートの鈴木明子さんと対談しました。NHK NEWS WEBにレギュラーで出て、色々な専門家の話を聞いてきたので、IS、中東、難民など時事問題にも詳しく、聡明な女性でした。好感度高いね~~。

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それから、旨い物は、アンコウの生ハム巻き、オレンジソース。これ相性がいいよ。今日は雪模様だけど、アンコウ鍋の季節だね~。

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そして、仔牛薄切りに、何とかソース(忘れた 笑)。

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雪といえば、私は、ワクワク。雪おろしで大変な北国の皆さんには申し訳ないけど。でも、私とて、スキーシーズンなれど、どうも、トランプさんのせいで、12月にスキーは無理かもね。来週から欧州出張も控えているし。29日は午後に二つ講演したあと、羽田国際線ターミナルに直行。帰国後は、セミナー「死のロード」(笑)ギッシリで、しかも連日NY時間、なにがおきても不思議ではないので、今年は忘年会など浮かれる状況にもないし心理的余裕もないよ。というわけで、今年は夜の約束は一切なしの12月。ストレス発散は、ひたすら、空いた時間に食うだけや(笑)。

2016年