豊島逸夫の手帖

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FBI再捜査終了、トランプ・リスクは後退したか

2016年11月7日

本日ブログ第二弾である。

コミーFBI長官が、再捜査で「結論は変わらず」と発表したことで、クリントン氏は、逃げ切り勝利するだろうか。市場のリスクオフは和らぐだろうか。NY市場の反応をまとめた。

結論からいえば、クリントン氏への不信感は容易に払しょくされない。トランプ氏は、早速、演説で「クリントン氏の疑惑は長期化する。クリントン氏は守護されている。」と語った。いっぽう、クリントン氏は、この報道が流れたとき、演説中だったが、全く触れずに終えた。広報担当のコメントのみである。

このままゆくと、クリントン氏は被告席で無罪再宣告を受け、そのまま本選に突入することになる。ポジティブな雰囲気での選挙戦終幕とは言い難い。

更に、コミーFBI長官は、クリントン氏のEメール取り扱いがcareless(不注意)と7月の記者会見では断じたが、そのことは今回触れずじまいだ。

それゆえ、クリントン陣営は、極力Eメール問題についての議論は回避する姿勢なのだろう。

結局、今日のFBI長官発表の影響は、現段階での未決定層に限定されそうだ。

従って、市場にトランプ・リスクは残る。

円安も、円買いポジションの売り手仕舞いが主体で、ヘッジファンドに新たな円売り・株買い仕掛けの動きは見られない。

それにしても、FBIの発表で、大統領選挙が揺れる展開に、市場は納得できない様相だ。本選直前に、再捜査を発表することも異例だが、2日前に、お構いなしと告知することも、様々な憶測を呼ぶ。

2日付け本欄「トランプ・リスクの呪縛、市場を揺らす」に、「ヘッジファンドは、コミーFBI長官が、大統領選挙当日までに再捜査状況の進展などの爆弾発言をするか、警戒している。」と書いた。まだ、当日まで残された時間に、クリントン氏の健康問題など更なる想定外イベントが起きる可能性もある。

ゆえに、円安も105円台まで進行する兆しは感じられない。

今晩のNY市場も、コミー発言を消化しつつ、揺れることになりそうだ。

2016年