2016年4月25日
今日は、先週金曜午後に書いた原稿と、今朝書いた原稿と2つ。
まず4月22日付け。
円、110円攻防に
午後1時半頃から円が急落。110円台の攻防を演じている。
きっかけは、日銀が、民間銀行への資金供給もマイナス金利にすることを検討との一部報道。欧州中央銀行の新型TLTRO(長期資金供給オペ)にならうような動きだ。3月のECB理事会で、追加緩和の一策として民間銀行が民間企業に融資すれば、その分については、マイナス金利つまり「ご褒美」的な金利がECBから支払われるということが発表されていた。4月のECB理事会では、追加緩和は発表されなかったが、記者会見では、さまざまな追加緩和についての質問が飛んでいた。
なお、NYMEXの原油先物価格も時間外で前日比0.50ドル以上上がり、43ドル台後半をつけた。
本欄21日付けに書いたように、原油安・円高の潮目が変わりつつある。
ヘッジファンドは、原油安が市場の不安感を醸成したところで「安全通貨」として円を買ってきた。その円高トレードが巻き戻されている。
円相場が心理的節目の110円台を回復すると、投機的円高圧力も弱まりそうだ。
次に、4月25日付け原稿。
円買いの流れを変えたフライング円安
一通信社の観測記事がキッカケとなった、22日の円急落劇。
明らかにフライング円安だ。
水泳競技のフライングは、競技者がスタート台に戻る。
しかし、市場のフライングにやり直しはない。競技はそのまま続行される。
投機的円売りが心理的節目とされた110円をブレークすると、そこに新たなレンジが設定されてしまう。そこでは「実質実効為替レート」などの理論より、市場の力学が優先する展開となる。
市場内部を見れば、110円からは、殆どが、これまで蓄積した投機的円買いポジションの巻き戻し。特にストップロスの円売りが、110円50銭、111円、111円50銭と節目ごとに発動されドミノ的に連鎖した。「劇場のシンドローム」つまり、劇場内の誰かの「円売りだ!」との叫びで、一斉に狭い非常口に殺到する現象が生じた。結果的に22日日本時間昼過ぎの109円40銭近傍から、短期的反騰局面も殆ど見られず、ほぼ一直線にNY時間では111円80銭前後まで棒状に円安が進行した。
ドル円24時間グラフ
そして、週明けを迎え、今回も主導役になった欧米ヘッジファンドは、アジア時間から臨戦態勢を敷いている。
まずは一直線の円安に対する円の自律反騰。しかし中期的には、これまでの円高が急激なペースで進行しただけに、今回の反動も想定外のスピードで進む可能性がある。
トレンドフォロー(順張り)のファンドには、FOMC、日銀金融政策決定会合が開催される前に、115円程度まで、持って行けるとの思惑も見られる。市場の見方が大きく割れて、神経質になっているので、投機筋にとっては、動かしやすい「草刈り場」に映るのだ。
「金融政策の効果は限定的ゆえ、財政政策とのポリシーミックスが望まれる。」と論じたところで、「・・・すべし。」「・・・となるはず。」との発想に市場はおかまいなし。高速取引が席巻するパワーゲームの市場では、結果が全てなのだ。
「重要金融政策会合を控え模様眺め」でにらみあいの地合いが続くなかで、22日のごとく、突発的材料をはやし、新たな円売りの波でかきまわされると、市場はひとたまりもない。
特に、メディアでの要人発言などは、恰好のキッカケを提供しやすい市場環境だ。
日本側から見れば、実質的介入効果を得られたので、ダンマリ戦術か、或いは、これを肯定するコメントが出るか。
いっぽう、米国側からは、今回の荒い円安が、ルー財務長官が言うところの「orderly」=秩序ある市場展開といえるのか。G20の席では、同氏が円高を「秩序ある」と表現したことが「介入牽制」と解釈された。それに対する、日本側との不協和音も顕在化した。
かりに、22日の円安劇について、米国側から、なんらかの言及があれば、円高材料となろうが、投機的相場変動について特にコメントすることはなかろう。
FOMCに関しては、既にイエレン議長がニューヨーク・エコノミック・クラブでの講演で、明確に「ハト派」色を強める発言としており、市場は、それを織り込んでいる。従って、サプライズがあるとすれば、一部地区連銀総裁から聞こえてくる「タカ派」的トーンが明示されるケースだ。これは、ドル高・円安を招く。
日銀金融政策決定会合については、今週の重要イベントスケジュールの最後にあたる28日に結果が出る。しかも翌日から日本はGW入り。従って、いつにも増して、外国勢に振り回されることになろう。その代表格のヘッジファンドは「利上げの回数が減り、時期は後ずれしても、いずれ利上げは不可避」と見ている。円高も「リスクからの逃避的円買い」ゆえ、賞味期限は限定と割り切っている。市場の不安心理を表わすVIX指数も13台と低水準にある。
追加緩和見送り、あるいは、政策内容不十分とされても、足元で勃発した円売りの波を覆すほどにはなりにくい。
IMMの円買いポジションは膨張して、市場内には「出口戦略」としての円売りエネルギーが充満している。所詮、投機的変動はゼロサムゲーム。これまで買われた円は、売られる宿命にあるのだ。そのとき、相場レンジは振り出しに戻る。
ドル高だから当然ドル建て金価格は下がる。
それでも1230ドル。プラチナも1000ドルの大台維持。円建て金価格には為替要因が強い。
なお、たまたま先週発売日経マネーでお馴染みコラム「豊島逸夫の世界経済深層真理」にて、円安論を「虫の目、魚の目、鳥の目」で書き「まず確実にドルは買われ、円は売られる」と結んでいる。
読んでみて。(まぁ、こう書いたものの、内心ヒヤヒヤだったけどね。結果が全て。笑)
そして、週末は、大阪梅田で、大手証券会社主催の「家族で考える資産運用セミナー」。
100組200名。満席。普段の証券会社セミナーとは全く異なる雰囲気。親子・夫婦・兄弟・姉妹などのペアが多い。初心者・女性が多いので、笑いが絶えない「ゆるい」モード。ペアで来ると、ひとりは中級者、ひとりは初心者なので、話すほうも、どこにターゲット当てるか、悩ましいところではある。とにかく、お茶の間で経済や投資も話題になるようなキッカケとなってくれれば、と思っている。大阪なので朝日放送ライブ情報番組出演者として私を認識している参加者も多かったね~(笑)。
そして、今日の食べ物写真は、梅田に早く着きすぎて、喫茶店で食べたストロベリームース。講演前に血糖値を上げ、頭の回転を良くするため、とか、自分に言い訳しながら(笑)。