豊島逸夫の手帖

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孫トランプ会談の衝撃

2016年12月7日

安倍トランプ対談とは全く異なる光景だった。

対談直後、オープンに会談内容が明らかにされた。

トランプ氏は一階まで孫氏を見送り、孫氏は、会談で使われたメモまで報道陣に公開した。

「以下をコミットする。4年以内に、500億ドルを米国に投資。5万人の雇用を米国に創出。」との部分に手書きで丸が記されている。

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トランプ次期大統領は、間髪入れず、ツイッタ―で呟いた。

「ソフトバンクのMASAが、500億ドルの米国投資と5万人の新規雇用に向け投資に合意してくれた。」

「MASAは、トランプ勝利なかりせば、こんなことはやらなかった、と述べている。」
米国の市場関係者も「アンビリーバブル」との反応。

ヘッジファンドの最初の質問は、「カネの調達は?」ということだった。

思わぬ、日本からの「当選、ご祝儀」。次は、オイルマネーか、などの観測も流れる。

実は、この前に、トランプ氏は、ボーイングに噛みついていた。

「ボーイングは、新たな大統領専用機エアフォースワンを製造中だが、コストが40億ドル以上と、法外だ。発注はキャンセル!」とツイッタ―で呟いたのだ。

就任前の次期大統領が、ツイッタ―で特定の公的発注をキャンセルするなど、異例中の異例だ。またもや、民間企業への直接介入の事例を作った。

防衛関連株は、トランプ銘柄なので、株式市場にとっては、聞き捨てならない発言である。

トランプ氏は、トランプタワーロビーで記者の質問に答え「ボーイングにはおおいに儲けてほしいが、それほどまでに多くのカネを儲けてもらっては困る。」と語った。

ソフトバンクのような外国企業であれ、ボーイングのような米国企業であれ、入るカネ、米国に戻るカネは拒まず。逆に、出てゆくカネには厳しい態度を貫く。そんなトランプ氏の方針が、露わになっている。
ときあたかも、米国人投資家の目が、イタリアリスクの欧州市場から、政権安定市場として日本に向いているときゆえ、ソフトバンク株の成り行きもフォローされている。
そもそも、トランプ氏が、ボーイングに値段が高過ぎると言っているのは、大盤振る舞いで、財政赤字が問題視されることに対するジェスチャーだ。米財政赤字はドル安要因であり、金には買い材料になる。

それから、明日、BSジャパン、日経プラス10に生出演します。

http://www.bs-j.co.jp/plus10/

2016年