豊島逸夫の手帖

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英投票日、中露首脳同席で高みの見物

2016年6月22日

EUが揺れるなか、習主席は、先週からセルビア、ポーランドを歴訪。そして、21日には、ウズベキスタンのブカラに到着した。シルクロードの交通要衝にあった歴史的都市であり、一帯一路構想でも戦略的に重要な位置となる。そして23、24日には同国首都タシュケントで上海協力機構(SCO)第16回総会に出席。プーチン大統領も同席のもと、英のEU離脱を問う国民投票の結果を見守ることになる。

SCOは、中国、ロシアにウズベキスタン、カザフスタンなどの中央アジア諸国が参加する多国間協力組織だ。今回は、インド・パキスタンのSCOオブザーバー国を加盟国として認定するための審議も行われる。更に、ロシアは、イランの参加も視野に置いているもようだ。

既に、習主席は、コソボの領土紛争問題をかかえるセルビアから、南シナ海の領土問題についての一定の理解と、台湾独立反対の確認をとりつけた。

そして、ポーランドとは、更なる経済貿易関係の深化について合意。中国から欧州へ陸路を確認するかのごとく、中国からの鉄道貨物列車を現地で迎えるセレモニーにも参加した。

ポーランドのドゥダ大統領も「中国にとって、ポーランドがヨーロッパへの入り口となることを望む。」と述べている。

英国民投票直前のEU周辺国訪問、そして、投票当日にはSCO会合出席。

ギリシャ危機のときも、揺れる欧州に経済的支援・国債購入などを申し出て、「白馬の騎士」役を演じてみせた中国。その当時は「欧州への入り口」としてギリシャが意識され、中部欧州へ鉄道で結ばれるバルカン半島の南端ピレウス港の港湾設備を買収に動いた。

更に、一帯一路の終着駅としてのイギリスには、習主席自ら訪問。中国製原子炉導入などの経済関係強化で合意した。

その英国がEU離脱で揺れ、EU内の亀裂が顕在化している。

中国と欧州は深い貿易関係により一蓮托生の関係にもあるので、ここでEUが分裂することは中国も望まない。習主席も英EU「残留支持派」との立場を明らかにしている。

とはいえ、欧州不安は、中国の存在感を高める機会でもある。

不安定な状態で、EUが存続する状況が、中国にとって、最も望ましいシナリオかもしれない。

いっぽう、ロシアは、ウクライナ問題でEUと対峙して経済制裁の対象となり、経済不安が甚だしい。やはり、EUに強すぎず弱すぎず「適度」の揺さぶりをかける意図が透ける。

EU内でも、ドイツは経済関係が深いロシアの立場も意識してか、離脱派元ロンドン市長によるヒットラーの例えを用いた挑戦的発言にも、冷静に対処している。しかし、フランスからは、英離脱が悪しき前例とならぬよう、見せしめ的に強硬措置を採るべしとの声が聞こえてくる。

かくして、投票日を迎える関連諸国の思惑は異なる。

中国・ロシアにとっては、僅差の残留派勝利が、彼らの国益に合致するのかもしれない。

「ほくそ笑み」をこらえて噛みしめつつ、真顔で英離脱を憂慮する中ロ首脳のイメージが、筆者の想像力を刺激している。

さて、昨晩は、ホントに久しぶりに夜の銀座6~8丁目界隈に繰り出してビックリ。夜のお姐さんたちに代わって、若い外国人観光客で溢れかえっている。イメージとして、ユニクロが銀座のママさんたちを押し出している感じかな。元数寄屋橋阪急には、斬新なファッションビル。その上層階にはLOTTEの免税フロアー。みゆき通りを歩いた時に、かろうじて、老舗宝飾店が生き残っているのを発見した程度。

そういえば、セミナーで知り合いの銀座ママさんが来ていて、マイナス金利でどうすればいいのよ、と聞いていたこと思い出した。聴衆席でも、やたら目立ってたけどね(笑)。

最後にジム・ロジャーズ対談などNY現地ロケ番組が今日夜8時から日経CNBCでOA。週末にBSジャパンでもOA。先週日曜にスタジオ収録済だけど、なんせ、英国民投票前に撮って、BSのほうは後に放映されるので、離別派勝利、残留派勝利の2バージョン撮ってある。いやはや、倍時間かかって疲れた、、、、。

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2016年