豊島逸夫の手帖

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トランプ相場を試す利上げ

2016年12月9日


いよいよ来週はFOMC。利上げが確実視される。
昨年12月は利上げ後、米国経済が揺らいだ。
今年は大丈夫だろうか。
最大の違いは、「トランプなき世界」での利上げと「トランプ登場」後の利上げ、というポイントだ。
短期的に見れば、今回予想される利上げは、トランプラリーに乗って、株・ドル買いポジションを積み上げたヘッジファンドにとって、絶好の手仕舞いの機会となりうる。そもそも、クリスマス休暇前で、ただでさえ、市場は、今年の身辺整理モードに入っている。
長期的に見れば、利上げの負の影響は、トランプ次期大統領登場から期待される経済政策効果により、相殺される可能性が高い。昨年の利上げ時期と市場環境が全く異なるのだ。
トランプラリーがクリスマス休暇で一服しても、利上げに打ち勝つことの実績が、株価上昇の持続性を担保する。


いっぽう、市場は、トランプ氏とイエレン氏の相性にも注目している。「私が大統領になったら、イエレン氏を更迭する。」と言って憚らなかったトランプ氏。その発言について議会証言の場で問われ、毅然と「任期はまっとうする。」と切り返したイエレン氏。
来週のFOMCで利上げが決定された場合、トランプ氏がツイッターでどのように呟くのか。興味深い。
そもそも、経済政策のポリシーミックスは、積極財政・金融の緩やかな正常化にシフトしている。2016年の市場は、中央銀行主導の展開で、イエレン氏を筆頭に中銀幹部発言などが、市場を動かした。しかし、2017年は、イエレンFRB議長とムニューチン新財務長官を市場は複眼で見続けねばならない。
来年前半は、立て続けに利上げすることは考えにくいので、市場はもっぱら財政政策の「期待」から「中味の精査」モードに入るだろう。そこでは、ムニューチンそして勿論トランプ発言が、市場を揺らすことになる。日本市場にとっては、米新財務長官から円安牽制発言が飛び出すのか、も気になるところだ。
そのうえで、仮に6月の利上げ確率が上昇すれば、市場は再び、FOMC参加者の発言で動くことになろう。


「トランプなき世界」での利上げは、中銀依存型相場の実相を露わにした。そして、「トランプ登場後の世界」での利上げは、市場のニューノーマル(新たな常態)を試すことになりそうだ。


金価格は利上げ決定でドル高に振れて1150ドルを試すかな。円建てでは若干上がりそう。いずれにせよ、大きな動きにはならない。
金プラチナ値差も300ドルからは縮小傾向。


写真は、ロンドンに本社がある世界最大のプラチナ鉱山にて。


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プラチナ鉱石。これ1トンから1グラムしか採れない希少性。


連日の講演で、かなりハイテンションになってます(笑)。
昨晩日経プラス10に生出演したときも、その直前まで講演していたので、そのまま、めちゃハイテンションの喋り。関西の地上波ならいいけど、真面目な報道番組では、かなり浮いてたな(笑)。

2016年