2016年6月16日
今回FRBが発表した経済予測のなかで、やはり注目はFOMC参加者のFF金利予測分布(いわゆるドットチャート)。
グラフではなく元データを見ると、2016年末の予測値を0.625%とする人が前回3月の1人から今回は6人に急増している。
年末0.625%と言うことは、年内利上げ1回を意味する。
ちなみに、0.875%(2回)を予測する人は前回も今回も9人と変わらない。
更に、2015年12月時点までさかのぼると、2016年末予測で0.625%はゼロ。0.875%が4人。そして1.375%を見込む人が7人もいた。
利上げ予測が明らかに低下傾向だ。
なお、2017年末予測まで見ると、1.375%という低水準が前回のゼロから、いきなり6人も出て来た。これは来年末まで利上げ4回を意味する。
FOMC参加者のFF金利予測が回を追うごとに、低くなってきていることが鮮明に出ている。
市場は当初からFOMC参加者より、かなり低く見ていたので、FOMCが市場予測の水準まで降りてきたかたちだ。
FOMC声明文の方を読むと、雇用についての評価が、180度変わった。前回は、「労働市場の更なる改善」とされたのが、今回は、声明文の冒頭部分に「労働市場の改善ペースが鈍化」と書かれている。やはり、5月雇用統計悪化サプライズが響いていることは明らかであろう。
Brexitも議論されたことを認めている。
いつになったら、イエレン議長が追加利上げ決定できるような環境になるのだろうか。
次回のFOMCで今年利上げ0回予測が出て来ても不思議ではなかろう。
なお、次の利上げ時期については、7月の可能性を問われ、可能性を排除しなかった程度。質疑応答からは、やはり、9月、12月が連想された。
総じて、ハト派的トーンが強いFOMCといえよう。
この結果、金価格は一時1300ドル近くまで急騰した。
プラチナは970ドル台で、上がっていない。
安全性を求めるマネーは、金に流入するが、プラチナには流れない。
プラチナは産業用素材だから、景況感が悪化すれば下がる。
金は景況感が悪化すれば、安全資産として買われる。商品と通貨の二面性があるからだ。
たとえば、外貨準備として金は買われるが、プラチナは買われない。
経済危機のときも、金は買われるが、プラチナは売られる。
経済の流れが変わり、安全資産も不要になる平和な時代になれば、金は売られ、プラチナは買われるという局面も来る。