豊島逸夫の手帖

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ソロス氏警鐘、24日はブラックフライデーも

2016年6月21日

ジョージ・ソロス氏が、「EU残留派」として英国民投票に警鐘を鳴らした。

もし離脱となれば、ポンドは少なくとも15%、場合によっては25~30%急落しよう。これは、私が、92年9月に、イングランド銀行を相手にポンドを売りまくって儲けたときの15%切り下げをも上回り、更に、市場の混乱はより大きくなろう。そこまで下がると、ポンドとユーロはパリティーとなる。こんなかたちでの「ユーロと共同」は誰も望まないことだ。

英ガーディアン紙への寄稿で、自らの体験も引き合いに、厳しい予測を展開している。

92年のポンド切り下げは英国経済に恩恵をもたらし、私は感謝された。しかし、今回は事情が違う。まず、低金利で利下げ余地も限られ、Brexit後の景気刺激策における金融政策の役割が限定的となる。次に、経常収支赤字国としての英国への資金流入について。92年はポンド切り下げにより、不動産・製造業へマネーが流れた。しかし、Brexit決定後の2年間で離婚の条件を決める間、マネーは英国外へ逆流するだろう。そして、ポンド切り下げは、92年には製品輸出促進効果があったが、今回はビジネス環境が不安定となり、新たに輸出の能力を高める投資や雇用を生まないだろう。

今や、市場内の投機マネーの力が遥かに大きく強くなっている。彼らは、英国選挙民の間違いを激しく突いて仕掛けてくる。Brexitは、一部の人たちを金持ちにするが、多くの有権者を非常に貧しくする。

離脱派勝利となれば、今週ブラックフライデーを見ることになる。

このように、切々と厳しい表現で個人の有権者に訴えているのだ。

残留派女性議員殺害をキッカケに、残留派の勢いが強まり、20日の市場でポンドは買われ、株価は反騰した。しかし、買いの実態はショートカバー(空売りの買戻し)だ。先週、過度のリスク回避で売り込まれたことに対する反省の動きといえる。とはいえ、地方のシニア層を中心に、離脱機運も依然強く残る。

日本時間24日は、朝から始まる開票に世界の目が注がれ、その結果を世界に先駆け東京市場がまともに受けることになる。地方から開票結果が出るので、最初は離脱派有利の数字が出そうだ。しかし、昼にかけて開票が進むにつれ、残留派有利の大都市票があく。午後、開票率100%に達するまで、接戦が展開されるかもしれない。

票読みの勘所は、残留支持の都市部若者の投票率だ。

最終結果が出て、仮に離脱ともなれば、ソロス氏試算のポンド急落から推定される円相場は100円の大台を割り込む可能性がある。いっぽう、残留となれば、110円近くまでの反動も考えられる。

「私の60年間の経験によれば、ポンドは急落。貴方たちの生活水準も急落。唯一の勝者は投機家だ。」

日本人にとっても、この警鐘は重く響く。

そして、金は、底堅い。1280~90ドル台を維持。

プラチナとの値差、300ドル。一時、縮小したけど、

再び開いてきた。300ドルは最大値差だね。

写真は、金特番、収録風景。

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昨晩の日経プラス10では、濃い話が出来た。

BSはジックリ語れるのがいい。

2016年