豊島逸夫の手帖

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G20後、人民元・円の神経戦続く

2016年2月29日

G20で通貨安競争は否定されたが、マイナス金利政策が自国通貨安を誘発するとの見解も流れた。通貨安競争の誹りを避けつつ、マイナス金利政策を深化させてゆくことは、金融政策の綱渡りであろう。

いっぽう、金融政策の限界はほぼ確認された。財政政策について具体的進展は見られなかったが、中国・ドイツ・そして日本の財政出動への市場の期待感は強まる様相だ。

足元の相場は、米GDP15年10~12月期が1.0%増に上方修正と発表された直後からドル高が進行した。

総じて、先週は良い米マクロ経済データが目立った。1月耐久財受注額が前月比4.8%と大幅増加、PCE(FRBが注目するインフレ率)が年率1.5%から1.7%に上昇などが挙げられる。

FRBは利上げペースを年4回から大きくは変えずとの観測も浮上しつつある。

しかし、アトランタ連銀が発表するGDPNowは、米GDP改定値発表後、16年1~3月期の予測値を2.5%から2.1%に引き下げた。特に、在庫投資のGDPへの予測貢献度をプラス0.2%からマイナス0.4%に引き下げている。10~12月期の上方修正理由として民間在庫投資の下振れ幅が縮小したことに注目。その反動で1~3月期は在庫投資が減少を見込んでいるのだ。

米国経済後退観測も根強い。

週末、ヘッジファンド・米年金などとの恒例の電話会議では、人民元売り、円買いの方向性が変わっていないことを感じた。

G20で中国が通貨安競争を否定しても、マーケットの実勢を見れば人民元下落トレンドは変わらない。いずれ5%から10%程度の切り下げは不可避と見ている。それを、一回で実行すれば、世界市場に再び大きなショックを与えるので、小刻みに切り下げてゆくことになろう。では、それで穏やかな切り下げが出来るかといえば、否である。切り下げを見越して人民元を先売りしておけば、いずれ儲かるとの読みで、投機筋の人民元売りがオフショア市場で加速するからだ。One-way bet(方向性が見えている楽な賭け)という表現が印象的だ。中国人民銀行とヘッジファンドのせめぎ合いは変わらないだろう。SDR入りした人民元の国際化を進める人民銀行としても、規制されないオフショア市場と規制されるオンショア市場で人民元の対ドル相場の乖離が拡大することを、放置はできない。

円に関しては、115円が年初の円上値抵抗線と見られていたが、今や、円下値抵抗線と意識されている。14年10月の日銀ハロウィーン緩和のときに超速度で通過した110~115円の「真空地帯」は、円買いで「攻めやすい地合い」と見ている。

日経平均も、年初想定されていた下値の目途1万6千~7千円台が、今や上値の目途とされている。ヘッジファンドの戻り売り姿勢は変わらない。日経平均が上がれば「レット・イット・ビー」。

日本ではビートルズの曲名で知られる言い回しだが、「傍観して、ほうっておく」という意味だ。「上げられるだけ上がってもらって」反騰が息切れするタイミングを見計らっている。

最新の世論調査でアベノミクス「評価せず50%」の数字には強い関心を寄せていた。

総じて、G20への期待度が高くはなかったので、マーケットの目はスーパーチューズデー、米雇用統計などに転じている。

金は頭打ち気味だね。著名ヘッジファンドの金ETFまとめ買いで急騰したが、散発的買いゆえ、継続的推進力に欠ける。

さて、先週金曜日は、私にとって実にめまぐるしい一日になった。

午前中、諸々原稿書いたあとで、午後の便で高松へ。日経懇話会の講演と懇親会が終わったのが、午後7時前。それから、羽田にトンボ返りで、そのままテレビ東京に直行。ワールドビジネスサテライトのビデオ収録。G20と人民元についてコメント。

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一日の疲れがそのまま画面の表情に出て、酷い顔。自分で見たくない感じ(笑)。 もはや、ノーメークではあきまへんなww。

深夜に帰宅して仮眠をとって、それでも、朝一の上越新幹線でガーラへ。

クタクタだったけど、天気予報が快晴だったので、とにかく、雪の中でリフレッシュしたかった。車内で、冷蔵庫に残っていたポテトサラダなどを食らいつき、

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しばし爆睡。着いたら、ピーカンで、軽く滑るつもりが、結構マジに滑り込んだ。仕事の疲労感と異なり、爽やかな疲労感。日曜も同じく始発の上越新幹線でスキー連ちゃん。車内ですぐ前の席から「豊島さんですよね。」って女性に声かけられて、はて、仕事で会ったかな、と思ったら、ブログ読者だった(笑)。土曜も日曜も、自宅では、ひたすら寝ていたよ。おかげで今朝はスッキリ快調!

ふと、気がつけば、うちの梅も満開。

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2016年