2016年6月13日
米国史上最悪の無差別銃乱射事件にISの影響・関与が濃厚になっている。
背景としてISが追い込まれたことが挙げられる。
先週、NY訪問の際、多くの経済専門家との対話で、2016年の「地政学的」リスクとして「追い込まれたISが海外でのテロ強化による存在感維持。そのターゲットに米国が含まれる可能性。」が頻繁に語られていたのだ。
現在ISは、有志連合、シリア反政府軍、クルド人軍団、イラク政府軍などの反攻により、一部支配地域を奪還されるなど、劣勢が顕在化しつつある。
そこで、リビアでの活動を強化。
更に、海外でのテロ活動拡大を狙っていた。
米国内のホームグロウンテロリストたちは、ISシンパであり、このIS海外強化志向をいち早く察知して動いた、との推測も成り立つ。
犯人は2013、2014年の2回にわたりFBIの尋問を受け、ISシンパ・リストに載っていた。
この衝撃的事件は、大統領選にも重大な影響を及ぼしそうだ。
犯人が29歳で、親はアフガニスタン出身と発表されている。しかも警備員の職にあった。
トランプ氏が、この事件について、どのようにコメントするか。予定されているニューハンプシャーでの演説の内容も急遽変更されそうだ。
事件の全容が明らかになるにつれ、波紋が広がることになろう。
また、事件の衝撃は欧米市場にも広がる気配をみせている。
まず、ISが中東の拠点での苦戦を強いられるなか、矛先を欧米に向けたことの事例として解釈され、新たな地政学的要因を生んだ。更なる円高そして金高要因となろう。
英国内では一段とテロ警戒感が強まり、欧州大陸経由のテロリスト侵入を警戒する離脱派が増える可能性がある。
米国内では、トランプ氏の対イスラム過激発言への共感度が強まるリスクが否定できない。同氏のボルテージも上がりそうだ。
911同時多発テロ以来最悪の国内殺傷事件として扱われ、国全体が喪に服するなかで、経済への影響も無視できない。
金融政策ウィークは、「異次元」のリスクから始まった。