豊島逸夫の手帖

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「私の履歴書」を抜いた

2016年1月22日

日経電子版の人気連載ランキングで、「金のつぶやき」が「私の履歴書」を抜いた。


まぁ、一日だけのこととはいえ、荒れるマーケットに集まる関心の高さを映す現象だと感じている。

日経平均が午前に300円下げ、午後に400円上がるような地合い。かと思えば、寄り付きから、いきなり500円高。株式市場がカジノ化している。

今の市場の実態は、日経レバレッジETFが人気化して、トレンドフォローの超短期投機家CTA集団に攪乱されている。

SNSでも「長期保有は妻だけ」という呟きに多くの「はげどう」(激しく同意)の声が集まる。

ニーサ導入により急増した女性投資家にも、きつい洗礼だ。

「私たちの結婚願望は、ボックス圏で熱くなる時期と冷める時期と乱高下を繰り返す。上放れたときに結婚。」こんな冗談を言っていたアラサ―女性がいた。私は、その高値を掴む男もいる、と返したのだが、今では、それほどの心の余裕はあるまい。

昨日、ドラギECB総裁は、「下振れリスクが強まっている。3月には政策を見直す。」と語り、追加緩和の可能性を強く示唆した。ユーロも一時は大きく売られたが、直ぐに買い戻されていった。市場には、昨年12月のECB追加緩和が「期待外れ」に終わり、失望感を誘発した記憶が生々しく残っているのだ。ドラギさんを信じたいのだが、素直に信じきれない恋人の心のごとく、投資家心理も揺れている。「3月までには、口うるさいドイツの叔父も口説いてみせるから、それまで待って。」と言われても、2か月も待てない。

市場は、イエレンFRB議長と黒田日銀総裁からの「下振れリスクが強まっている。3月には政策を見直す。」というお言葉を待っている。願わくば、それまでに、政治家の金銭授受問題も決着の方向に向けて動いてほしい。今の日本株は、アベノミクスを試すリトマス試験紙のごとく政治相場の色彩を強めているからだ。

そもそも、なぜ、これほど、相場の振れが激しくなったのか。

主要国が持つ経済政策の道具箱のツールを殆ど使い果たしたからだろうと筆者は見ている。日欧は、どこまでマイナス金利を容認できるかを試すような量的緩和の限界に直面している。米国は、利下げの余地が出来たとはいえ、僅か0.25%。唯一、中国がまだゼロ金利まで利下げ余地を残すので、経済政策の懐が深い。しかし、度重なる利下げ・銀行預金準備率引き下げにもかかわらず、その効果が明確に特定できない。「流動性の罠」に陥ったかのようだ。

いっぽう、市場は中銀依存症が慢性化しているので、投薬が切れるとショック症状を惹き起こしがちだ。

更に、ボルカールールにより、米国大手投資銀行などが自己勘定部門売買を制約されたので、市場にリスクを取るプロ集団が極端に減ったことも大きな要因だろう。産油国政府系ファンドなどが大きな売り注文を出すと、それに対して、自己リスクで買いに廻れるトレーダーがいなくなってきているのだ。結局、買い方を探すブローカー的機能しか果たせない。しかし、それほどのリスクをとる相手は容易に見つかるものではない。その間、大きな売り注文が入ったことが知れるや、われ先にディーラーは売りに走るので、相場の振れが増幅される結果となる。

こう考えてくると、今回のような市場騒乱の頻度が高まることも覚悟せねばなるまい。

個人投資家には、リスク耐性=胆力が求められる。ひらたく言えば、投資とは要はリスクをとって分散運用することなのだ。今の時代、真の「元本保証」の安全資産など無い。その厳しい事実を受け止め、リスクを避けるという発想ではなく、リスクを分散するという考え方を身につけることだ。

貯蓄から投資へと掛け声をかけるほうには、マーケット感覚を持たぬ政治家たちが多い。一人3万円のお小遣いを振る舞うより、投資家教育を広めることが必要だろう。

株が阿鼻叫喚状態になったので、金の取材がまたぞろ急増中。

でも、株か金か、の二者択一ではなく、株も金も、ポートフォリオでリスク分散という発想が大切だ。

金が好きな人は、金の事にしか興味がない、という例が多い。

それは、甘利に(たまたま変換したら、この漢字が出たよ(笑)。)見方が狭いと言うもの。常にマクロの視点を忘れずに。

最後に写真は、またまた、肉!アドレナリン出っ放しだからね~~。どうしても肉食になる。でも、甘いものは控えるようになった。検査で血糖値がやや高めに出たので。たしかに、ここのところ、スイーツを大胆に食べ続けていたので、反省!肉もフィレにしたよ~。

2016年