豊島逸夫の手帖

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米「トイレ法」論議、経済界にも波及

2016年5月12日

トランスジェンダー(心と身体の性が異なる人)が公共施設でトイレを利用するときは、出生証明書に記載された性のトイレを使用すべし。

このノースカロライナ州の新法が全米で議論の対象となり、その影響が企業にも及んでいる。

まずは、LGBTに差別的だ、という反発が起きた。

対して、女性トイレの安全性を懸念する声も強い。

州内に店舗展開するレストラン・チェーンなどでも、会社の方針として、同法を支持するか否かが問われている。

支持する店舗に対して、民間団体がボイコットを呼びかける動きも出て来た。苦肉の策で「ファミリー用トイレ」を利用させるところもある。

支持する店舗も、女性客の安全には万全を尽くすと強調する。

更に、同州内に生産・営業基盤を持つ大企業も、トイレ法に対する反応を迫られている。

既に、アップル、グーグル、フェイスブック、IBM、アメリカン航空などが、はやばやと「同法反対」を表明している。

この問題は、結局ダイバーシティーの議論に拡大してゆくので、州と連邦政府の立場が異なり、訴訟合戦の様相も帯びてきた。

大統領選挙でも、候補者が賛否を問われている。トランプ氏は当初批判的だったが、その後、賛成論にも理解を示している。クリントン氏は賛成派だ。

今後も熱い「トイレ論争」が続きそうである。

2016年