2016年6月1日
昨日のブログには様々な反響があった。特に世代間負担の不公平感については、現役世代からは、おおむね同意。いっぽう、シニア世代からは、「老後貧乏」を懸念する声が多い。
現役世代は、介護費用をシニア世代はもっと負担して、子育てに資金を廻せ、と考える。一人の子育てにかかる費用と、一人の介護に必要なコストをザックリ比較すれば、明らかに介護費用のほうが高い。
いっぽう、シニア世代は団塊の世代を中心に今や日本の人口の中核を占めるので、選挙となれば政治家はこの大票田の意見を無視できない。
さて、消費増税延期にともない、社会保障用財源が見当たらない。
とはいえ、日本にはカネがある。
まず約1700兆円もの個人金融資産、そして300兆円を超す企業内部留保(企業が貯め込んだカネ)だ。
この中から4兆円ほどを投入すれば、アベノミクスが目指す正規雇用増、子育て・介護支援などは賄える。
しかし、将来への不安のため、個人も企業も、貯め込む傾向は変わらない。そこで、課税により、カネを吸い上げることになる。そもそも消費増税は、このために使われるカネだった。それが延期となれば、個人や企業の持つ資産に課税が浮上する。相続税増税などだ。
とにかく、対外的にも日本は債権国だ。資産と負債の差で見ると、300兆円以上の純資産を持つ。カネがないわけではないので、所得の再配分でやりくりは可能だ。しかし、必ず痛みを感じる人たちが反対するので、政治的に難しい。金持ちに課税を強化すれば、資金逃避が加速して、パナマ文書の世界になりがちだ。
いっぽう企業の「稼ぐ力」を強化するような政策も必要だ。TPPや雇用制度改革などである。しかし、抵抗する力も強く働く。
結局、安倍首相とて、妙案を持つわけではない。野党にも妙案はない。選挙で民意を問うても、選挙民の間には無力感が漂う。
「子供たちに負の遺産を残さない」気持ちで国内にコンセンサスが醸成されることを願うが、言うは易し、行うは難し。
モヤモヤ感は消えそうにない。