2016年7月7日
まず、日本経済研究センター主催セミナーのお知らせ。
8月25日、日経新聞大手町本社ビルで「人民元相場の行方―英EU離脱とG20を軸に」
(募集要領は写真と↓)
http://www.jcer.or.jp/seminar/tokyo/index.html
これは、超真面目なセミナーです。シリーズ「どうなる中国経済」第三回とのこと。
そして、今日の原稿。
リスク回避で機関投資家のマネーが安全資産とされる国債市場に流入して、マイナス金利幅が拡大、と語られる。
果たして、国債は安全資産なのだろうか。
たしかに満期まで持ちきれば、元本保証という安全資産の前提条件は満たされる。
しかし、マイナス金利の時代には、インカム(利回り)を得られず、逆に、元本保証の特権を得るための手数料を支払わねばならない。
このような異常な状況が今後20年続いても、満期まで持ちきり、毎年、マイナス金利を支払い続けることは考えられない。
結局、国債が短期売買の投資対象となっているわけだ。今のうちに買っておけば、いずれ、日銀が、より高い価格で買ってくれるとの期待があればこその珍現象である。
そして、日銀もその期待に答えるので、実質、日銀の買取り保証つき債券ということで、安全資産とされる。
しかし、この実質的買取り保証は永遠に続くわけではない。
国の借金証文を、間接的にせよ、日銀が「躊躇なく」買い続ければ、いずれ、金融節度・財政規律が疑われる。
この「臨界点」に達した瞬間から、国債の発行体の信用リスクが高まり、売られ始める可能性がある。
金利は、マイナス圏からプラス圏へ急反騰するかもしれない。
短期売買として国債を保有していた機関投資家は、損失を蒙ることになろう。
ゆえに、国債が安全資産と決めつけることは出来ない。
リスク回避で安全資産の国債買い、とも言いかねる。
リスク分散という表現のほうが、しっくりくるのではないか。
株の運用比率を低め、債券を高めにすることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑える。
しかし、長期的には、国債の発行体リスクがつきまとうので、発行体のない資産もヘッジとして保有する。
その一例が金ということになる。欧米では金が「誰の債務でもない」資産とされる。いわゆるソブリンリスクがないので、金も「安全資産」といわれる。しかし、価格変動リスクがあるので、やはり安全資産とは言い難い。
資産運用の主役は株・債券だ。金はあくまで脇役。
平時に買って、有事に売ることで、危機を凌ぐことが、「有事の金」の本来の意味である。
国債も金も、安全資産というのは、「神話」にすぎない。
但し、リスク分散効果は認められる。
さて、今日の旨い物写真。
まず、ばかでかい青森産すいか。こんなに大きいのに味は繊細な甘みでビックリ。
次は、久しぶりのミッドタウン「虎屋」で、七夕週限定の生菓子。見るからに涼味。