豊島逸夫の手帖

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一番打者の日本株

2016年4月14日

「ワォー!」

連日の日本株上げっぷりは、海外市場でも、サプライズ感をもって受け止められている。

日本株が、時差の関係で「一番打者」役となり、その日の世界株式市場の方向性に少なからぬ心理的影響も与えている。

外為市場でも、「安全通貨」円が、市場のリスク許容度を示すベンチマークとして欧米市場でも注目されている。

日本株の上昇要因は、原油安・中国経済不安・円高の三大リスクが一服したことにある。問題は、この追い風を利用して、ヨットレースに例えれば、どれだけ前進できるか、ということだ。

そこで、鍵を握るのは、米国経済リスク。

いまや、中国経済より米国経済の景況感が、利上げ観測を揺らし、ドル相場を動かし、株式市場の浮沈を握る。

その米国経済の見方だが、FOMC内でも割れている。

米国GDP速報値として、アトランタ連銀がGDPNowを発表しているが、それに対抗して、NY連銀もNowcast(ナウキャスト)という速報値発表を開始した。

その予測数字が、かなり乖離しているのだ。

最新のアトランタ予測は0.3%。対してNY予測は1.1%。

FOMC内でも、これだけ見方が異なると、イエレン議長も内部調整が容易ではなかろう。6月までに利上げ方向でまとめられるのか。疑問符がつく。

日本株への影響としては、米利上げ観測が後退すると、ドル安、円高となり、下げ要因とされがちだ。イエレン氏には、サッサと追加利上げを決断してほしい、さすれば円安に動く、というのが日本側の希望的観測であろう。

今回の円高・株安加速の火付け役になったのも、ニューヨーク・エコノミック・クラブでのイエレン講演が誘発したドル売りであった。

企業業績よりも、まずイエレン次第という相場展開が続きそうだ。

その間に、先述の追い風に乗り、日経平均が、1万7000円台を回復できれば、次の逆風に対するバッファーが厚みを増す。

なんとか持ちこたえれば、外国人投資家の日本株離れにも歯止めがかかるだろう。

昨日、ヘッジファンドで働く後輩たちから、6月NYでの日本株勉強会への参加打診があった。これまで事前キャンセルが2回続いただけに、日本株見直しの兆しかと感じている。

そして、NY市場での金も注目されている。メディアの取り上げ方も日本よりはるかに多い。それだけ、米国株式への不安感の裏返しと感じている。

今日の写真は、先週ABCに生出演したときに使った「パナマ文書」の資料画面。

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なにせ、テラバイトという想像を絶する情報量のファイルなので、どこでも、まだ全面解析が出来ていない。これから、アッと驚くような新情報が飛び出すかもしれない。

2016年