2016年8月26日
世界中の市場の目が本日のジャクソンホールに向けられている。予定されているイエレン氏の講演次第で、円相場の大きな心理的節目とされる100円台が試される。
本会議は、長期的な視点で中央銀行の金融政策を議論する場ゆえ、イエレン氏発言といっても、FOMC後の記者会見とは異なる。直接的に9月利上げに言及することは考えられない。
そこで、市場は、イエレン氏の米国金融政策についての見解に関する発言の中に何らかのヒントを探ることになろう。
例えば「次の景気下降局面に備え、中央銀行として金融政策ツールを充分に備えておくことが極めて重要だ。」などと、特に「極めて」などの副詞が入ると、市場は、すわ9月利上げかとドル安円高に走ることになる。超低金利水準では伝統的金利政策による利下げが出来ないからだ。日欧に続き、米国にもマイナス金利導入の可能性はゼロではないが極めて低い。イエレン氏自ら、記者会見で突っ込まれた時「極端な条件下で選択肢として完全に排除しないし、過去にFRB内で検討した記録も残るが、現実的には考えにくい。」と消極的姿勢を明確にしている。
更に注目されることは、フィッシャーFRB副議長、ダドリーNY連銀総裁、ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁らイエレン氏側近たちの最近の発言との整合性だ。彼らは、ここにきて9月利上げの可能性をしきりに匂わせるごとき発言を続けている。それに対して、イエレン氏が、米雇用、インフレ率、賃金、生産性、英EU離脱などについての評価をいかに語るかが注目だ。
そこで米経済について前向きな表現が強調されると、側近発言を追認と解釈され、103円程度までドル高円安に振れる可能性がある。市場内にはドル全面安モードでかなりのドル売りポジションが蓄積しているので、損切り覚悟のドル買戻しが連鎖的に生じると瞬間的に105円台をつけるかもしれない。
逆に、悲観的コメントに終始すると、9月利上げ無しと解釈される。側近たちの発言との整合性が問われ、市場は当惑しつつも、99円、98円台と円買いが続くだろう。
最も現実的なシナリオは、これまでどおり「低く長く」で締めるシナリオだ。緩やかな利上げペースで、低金利水準を長期にわたり継続するという表現だ。この場合は、ドル安トレンド継続を確認と市場は捉えるだろう。
振り返れば、昨年9月時点でのFOMC参加者の2016年末予測金利水準は、中心領域が1.125%4人、1.375%2人、1.625%3人。17名中14名が1%以上と予測していた。その前提で、外為市場は金利差によるドル買い円売りが進行していた。それが、今や、年内利上げありやなしやとの議論が市場を席巻している。
これほどまでにFOMC参加者予測が外れると、金融当局と市場のコミュニケーションには不協和音が目立つ。イエレン氏の言い分は「利上げ判断はデータ次第」が決まり文句になっている。しかし、最近はイエレン氏に対する不信感もジワリ浮上してきた。トランプ氏の「イエレン氏更迭」発言も、そのような潮流を意識してのことだろう。今年のジャクソンホール会議も、まず最初のセッションは、反FRB、反ウォール街グループたちと中央銀行家の対話から始まるようだ。極めて異例のことだが、この不信感が払しょくされない限り、投機マネー主導の展開が不可避である。
そして貴金属市場では、ビッグイベント前の手仕舞い売り。
金は1320ドル台。プラチナは1070ドル台。
ジャクソンホールでドル高に振れる可能性だってあるわけで、貴金属市場の投機筋も、とりあえず身辺整理。下がったところで買い直す目論み。
そして、昨日のブログで今読んでる本を書いたら色々聞かれたので、写真で紹介。
着物始末とは、吉原のおいらんが、酔っぱらった客に飲み物のシミつけられたようなとき、復元を請け負う職人。司馬遼太郎や池波正太郎ものは、全部読んで一巡したので、ちょっと趣向の変わった歴史ものを読み始めた次第。着物について知識は殆ど無いけど、着付けがキッチリしていると、締まった感じで良いね。
それから、今週の朝日新聞、金対談でロケに使った場所が、高輪シェラトン都ホテルの日本庭園。偶然にも、2か月前に同じ場所を使っていた。広くて良いけど、池に蚊がいて、女性は皆刺されて困ってた。おじさんには、蚊も刺さないけど(笑)。