豊島逸夫の手帖

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金暴落

2016年10月5日


一夜にして金価格が1260ドル台にまで暴落しました。
理由は簡単で、ISM製造業景況感指数が良く、市場の12月利上げ観測が強まったことでドル高に振れたからです。それに尽きます。
昨晩はラッカー・リッチモンド地区連銀総裁が「FFレートは、現在には、1.5%であるべき。」と具体的な数字を出してインパクトあるタカ派発言をしました。これも、ドル高要因となりました。
テクニカルには、相場のカタチが良くない。200日移動平均線を余裕で上回っていたのが、こちらも一夜にして、同平均線に向かって下落し始めた。内部要因としては、歴史的水準にまで膨れ上がった先物買い残高が、自重に耐えかね、雪崩を起こしたことです。一部には、今回は違う。そう簡単には崩れない、という見方もありましたが、やはり、先物主導は長続きはしませんでした。


さて、これからどうなるか。

まず、中国はまちがないなく現物を大量に買っていきます。
インドは政府による規制がかかっていますが、10月はヒンズー教のお祭りDiwaliの季節。この日には、金宝飾品などの買い物をすることが縁起良いとされます。季節的要因、そして、規制の網をかいくぐってドバイからの密輸が増えるでしょう。
従って、中国・インドが下値を支え、1250ドル前後が底になると見ます。

ただ、ここまで下がると、1300ドルが上値抵抗線になりましたね。ここを突き抜けるには、トランプ氏が第二回大統領候補討論会でヒラリー氏に反撃するとか、トランプ大統領可能性高まるのシナリオでしょうね。メイ首相とメルケル首相の欧州EUリスク、銀行信用不安リスクも嵩じると、1300ドルを突き抜ける材料になります。
更に、今週は、ISM非製造業指数と雇用統計が控えているので、ここで悪い数字が出ると、ドル高金安相場はちゃぶ台返しになります。
円建て金価格のほうは円安になれば、下がりにくく、上げやすくなります。


なお、参考のため、グラフ添付しました。
順番に、「ドルインデックス1週間グラフ」「日銀、ECB、イングランド銀行が量的緩和でどれだけおカネばらまいたか。いっぽう、FRBは、ばらまき打ち止めでゼロと対照的」「ポンド急落グラフ」「金価格過去一年、緑の線が200日移動平均線」


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2016年