豊島逸夫の手帖

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ニース・イスタンブール・ダラスを結ぶ「点と線」

2016年7月19日

フランス国内がニースでのトラック・テロ犠牲者を悼み、3日間の服喪に入った初日にトルコでクーデター未遂事件が勃発した。

失敗に終わったとはいえ、フランスは、エルドアン政権の強権体制が過度に強まれば、トルコ国内に亀裂が顕在化することを懸念する。それゆえ、フランス外相が、まっさきに、エルドアン政権を牽制する発言を行った。

とはいえ、難民流入抑制策では、EUとトルコが一蓮托生の関係にある。

トルコがギリシャに渡った難民・移民の送還に応じる一方、EU各国がトルコ国内の難民キャンプからシリア難民を受け入れることで合意している。無秩序な流入に歯止めをかける狙いだ。

それゆえ、エルドアン政権下で一定の国内安定が実現してきたことも無視できない。

いっぽう米国は、トルコ国内のインジルリク空軍基地司令官が、逮捕されたことに衝撃を受けている。同空港は、隣国シリアでの米軍のIS掃討作戦に使われていたからだ。NYタイムズは、同司令官が、米国への亡命を希望したが、拒絶されたと報じている。

関係者の身柄引き渡しに関しては、米国内に居住するイスラム教指導者ギュレン師の扱いも微妙な問題だ。エルドアン大統領が今回の黒幕として名指しする人物だが、米国側は、確固たる判断の根拠を模索中である。

そもそも、米国は、トルコが掃討作戦の標的として、ISよりクルド部隊を優先する傾向に不満を持っていた。米国はシリア国内のクルド人部隊を対ISとの戦いで支援してきたからだ。

おりから、米国内では人種問題が再燃している。トルコのクーデター未遂後の17日には、南部で警察官3人が撃たれ死亡する事件が起きた。7日にダラスで警察官5人が殺害された事件が全米を震撼させた余韻も冷めやらぬ内の凶行である。

かくして、宗教上、人種上の対立が、テロ・銃撃などの連鎖を生んでいる。

市場は、トルコのクーデター鎮圧による安心感に小康状態だが、次に、何が起きるのか、との警戒感も根強い。

なお、東京市場で意識されているのは、マネー満載のヘリコプターの来襲だ。

こちらは、ハイパーインフレという長期的リスクを伴うのだが、市場の閉塞感を打開する最後の手段(ラスト・リゾート)として、期待感も強い。否定されればされるほど、注目度は高まる。「あり得ない。」と論じても、「英EU離脱はあり得ない。」と論じ、専門家ほぼ全員が外した記憶が生々しい。

地政学的リスクの不確実性に揺れる市場ゆえ、ヘリコプターマネーも絵空事と切って捨てることが出来ないのだ。

それにしても、16日土曜日の早朝からトルコ異変で、結局、終日振り回されたね。日経電子版にも臨時で書いたし、ツィッター@jefftoshimaでは、刻々展開を追っていた。

金価格はクーデター勃発直後、1340ドル近くまで急騰したが、「失敗」となり、1320ドル台まで下落。とはいえ、高水準で持ちあっている。いっぽう、プラチナはジワリと上がってきた。1090ドル台。一時は金プラチナ値差が300ドル以上に拡大していたから、だいぶ縮小してきた感じ。

ちなみに、GFMS社創設者のポール・ウォーカーは今、イスタンブール在住。奥さんが元々CNNのキャスターでアンドレアというのだけど、彼女がトルコのテレビ局に就職したから。それで、今回のクーデター。なんと、アンドレアがキャスターで放送中に兵士が入ってきたのだと。なんとも生々しいエピソードだった。

そして、今日の写真は、連休中にリニューアルオープンした神田明神男坂下の天ぷら・鮨屋さんで見かけた、キティーちゃんの祝い花。さすがサンリオ社長という感じだね~。それにしても、可愛らしい。


このお店(みやび)をプロデュースしたのが、為替のプロ、尾河眞樹さんのお姉さんで美樹さん。外食関係のプロ。家族ぐるみの付き合いなので、呼ばれました。眞樹さんのほうは、テレビ東京のモーサテでお馴染みだと思うけど、来月からソニーフィナンシャルの執行役員として転職。ただいま忙しく準備・充電中。

2016年