豊島逸夫の手帖

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最新中国経済リスク

2016年8月9日

9日に、中国国家統計局が発表した7月の消費者物価指数は前年同月比1.8%上昇。これは6か月ぶりの低水準。

同時に発表された卸売物価指数は前年同月比1.7%下落。53か月連続のマイナス!下落率は徐々に落ち着きつつあるものの、経済活動が鈍化していることを示すことには違いない。

なお、8日に発表された中国貿易統計でも、輸出、輸入ともに振るわず。輸出は前年同月比4.4%減の1847億ドル。輸入は同12.5%減の1324億ドル。

問題は、総輸出は減っているのに、鋼材輸出量は同5.9%の増加。単月で過去4番目の高水準。このペースが続けば、日本の年間粗鋼生産量(1.1億トン)を上回る鋼材を輸出していることになる。

中国は年間14億トンの粗鋼生産能力を抱えており、過剰生産で余った鋼材を安値で海外に輸出しているのだね。これが、G20では、「中国のデフレ輸出」として非難されているわけだ。

中国の債務問題も進展が見えない。

問題は、景気が停滞しているのだが、地方自治体の役人たちは景気が良くならないと自らの出世に響く。だから、相変わらず、住宅やテーマパークなどの箱ものを開発建設する。口実は、地方から大都市への移住を促すための住宅建設など。そのため、「地方融資平台」と呼ばれる会社を設立して、地方政府が全株式を間接的に保有する組織にする。この融資平台が社債発行により資金を調達して、土地を保有。インフラ投資などにおカネを回す。これもシャドーバンクの一つの形だ。

問題は、この社債のデフォルトが懸念されること。

結局、景気優先の経済政策に戻り、債務ばかりが増えている。

なお、中国の国内過剰流動性の一部が金にも流入していることは間違いない。

2016年