2016年8月5日
ビットコイン価格は今年に入り、400米ドル前後で比較的安定した動きを見せていた。6月に一時768ドルまで急騰する局面もあったが、その後、600~700ドルのレンジで推移していた。それが、前回書いたハッキング事件で20%ほど暴落して480ドルになったが、ほどなくして持ち直し560ドル前後で推移している。
それにしても、値動きは荒い。
よくビットコインと金が比較されるが、金価格は20%もの乱高下を繰り返すことはない。価値の交換手段としてはビットコインが優れているが、価値の保存手段としては、価格があまりに不安定だ。しかも、ビットコインには、今回のようなハッキングリスクがあることも明るみにでた。
ビットコイン業界もセキュリティー対策は講じていた。
当初は、自分のビットコインにアクセスするためのキーを、オフラインで保管するとか、紙に書いて銀行の保管金庫に預けるなど、原始的な手段であった。
その次には、顧客のキーを預かり、口座で管理する業者が現れた。しかし、この方法だと、結局、ビットコインの口座を持つことになるので、その業者が破たんするリスクが生じてしまう。
そこで、顧客、取引所、信頼できる第三者の3名が共同でキーを管理して、ビットコインを動かすには、複数の同意が必要とされるシステムが開発された。このシステムが、今回はハッキングに遭ったのだ。
ビットコインのアクセスを易しくして使い勝手を良くすると、セキュリティーは甘くなる。このジレンマをいかに克服するか。ビットコイン業界は新たな問題を突き付けられている。