豊島逸夫の手帖

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中国の国家主席は誰でしょう

2016年9月20日

18日夜7時から、テレ朝のニュースクイズ番組に出たのだけど、中国の国家主席は誰でしょう、という質問に、一般個人は正解率が7割程度。知らないひとが、2割以上いるのにびっくり。いっぽう、AIIB(アジアインフラ投資銀行)とADB(アジア開発銀行)の違いという質問には、正解率2割。これは、2割も知っていたというべきか。MCが羽鳥氏・高島彩氏という朝のニュース番組系の人気アナの共演ということで話題になっていたけど。私は、国際経済の解説役という立てつけだった。

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さて、連休中にも世界は動いた。
まずは、米国テロ。遂に米国本土でも、本格的テロ事件。911以来。路上の不審物にロボットが近づき処理しようとしたその寸前に爆発した。容疑者は中東アフガニスタン系。この事件は、大統領選終盤で、トランプを生き返らせたね。イスラム排斥感情が再燃しがちな社会。事実、シティーはトランプ大統領誕生確率を35%から40%に引き上げた。依然、ヒラリー有利なれど、一時拡大した差が急速に縮小中。英EU離脱が「ありえへん」として外した経緯もあるからね。何が起きるか最後まで分からない。

そして、今週は、日銀金融政策決定会合とFOMC。明日21日昼に日銀。夜(というか翌早朝)はFOMC。NY市場では、FOMCより日銀の結果の方がサプライズを警戒している。米利上げ先送りは織り込んだけど、日銀の総括は審議委員の意見に亀裂あり。これまた開けてみないと分からない。

それから「ああ、時間を戻すことが出来るなら去年の夏に戻りたい。」これ、演歌の歌詞じゃないよ。メルケル首相、ベルリン地方選で歴史的大敗を喫して、記者会見で、異例の反省のことば。難民政策転換することに。一時は「難民の母」といわれたけど、それが、裏目に出たね。大事なことは、メルケル首相の求心力低下は、英離脱後のEU解体リスクを高めることだ。
その英国のメイ新首相は、国連総会で訪米。ウォール街で、EU離脱について説明。李克強首相もNYで投資家廻り。安倍首相も、投資セミナーで日本経済をアピール。
かと思えば、韓国では震度4クラスの地震連発。震源地50キロ以内の原発に不安が生じている。
というわけで、世界は激動中。

なお、相場に関しては、債券市場が波乱要因。短期金利を低めに抑えて、長期金利を引き上げる、というイールドカーブ立ち上げ傾向のなかで、世界的に長期金利が上がっている。米10年債利回りも1.4%台まで下がっていたのが、1.7%台まで上昇中。なぜ、長短金利の差を広げることが大事かといえば、銀行経営安定のため。金利差がないと、預金金利と貸出金利の差で儲ける銀行の経営が立ち行かなくなる。ただでさえ、マイナス金利で、国債を保有すると、手数料みたいにおカネを払わねばならないから、特に、地銀・ゆうちょ銀行が困る。預金をかき集めても、不景気で借りてくれる人がいなくて、しょうがないから、国債で運用している。でも、そこでマイナス金利を払わねばならないわけだから。そこで、少しでも金利がプラスでつく外国の債券にマネーをシフトさせるわけだが、これが、欧米市場では、「日本マネーの債券買い」と囃された。しかし、ここにきて、中央銀行やジャパンマネーがあまりに債券を買いまくることに不安を感じた投資家が債券売りに走り、利回りは反騰しているわけだ。日本発の不安要因が世界の市場を揺らせている。この債券市場の動きは初心者には分かりにくいと思う。債券が買われて価格が上がれば、利回りは下がる、という債券市場のイロハが分かりにくいからね。さすがに、ここを細かく説明すると長くなるので、分からない人は自分で勉強して。

そして、金価格は1300ドル台を維持。著変なし。

2016年