2016年6月7日
米雇用統計サプライズ、それを受けてのイエレン講演に、人民元を管理する中国人民銀行が綱渡りを強いられている。
米雇用統計発表後のドル急落を受けた6日朝の人民元基準値は、前週末の1ドル=6.5793元に比べ、大幅な元高・ドル安水準の6.5497元に設定された。
しかし、6日のイエレン講演後には、外為市場でドル高に振れたこともあり、7日の人民元基準値は6.5618元と、元安・ドル高水準に設定されている。
折から、北京では米中戦略・経済対話が開催中だ。党の指示で動く中国人民銀行としても、あからさまな市場介入は慎み、「お行儀よく」振る舞わねばならない。
最近の元安傾向については、結局、自国通貨高による輸出減から生じる失業・社会不安を嫌う党指導部が、なりふりかまわず、輸出依存から脱却する経済構造改革を後回しにしているとの見方もNY市場では浮上している。人民元自由化から人民元管理政策への逆戻り現象がちらつく。
しかし、人民元はSDRに組み入れられ、国際通貨としてのお墨付きをIMFから受けている。建前としては、人民元自由化を唱えねばならない。
更に、人民元は根源的ジレンマをかかえる。
人民元安は、中国製品の国際競争力を高めるいっぽうで、中国からのマネー流出を加速させるからだ。しかも、多くの中国国営企業がドル建て債務をかかえる。それゆえ、政治力の強い国営企業のトップたちは、人民元安に異議を唱える。
そこで、優秀なテクノクラート集団である中国人民銀行は、綱渡りを強いられるわけだ。
米追加利上げ観測が猫の目のように変わるなかで、市場原理に任せれば、人民元の対ドルレートは大きく振られる。ゆえに人民元安定化のための市場介入は不可欠だ。そこで、人民元自由化政策との整合性を保つために、通貨バスケットに対する人民元レートを参考値として導入している。たとえば、対ドル人民元レートが元安になっても、通貨バスケットに対しては「安定的」と説明できる事例などがある。
足元では、人民元不安は顕在化していない。たまたま、米利上げ観測後退でドル安に振れてくれたので結果的に人民元安に歯止めがかかったという「運」にも恵まれた。しかし、今後のFOMC・英国民投票などでドル相場が急騰するようなことがあれば、人民元売り圧力が強まるのは必至だ。人民元発の火種が消えたわけではない。
そして国内では、党指導部の意向を受けた中国人民銀行の手綱さばきが問われよう。
それから、ユニークな金特集番組がNHKで放映された。私の御贔屓、市川猿之助が「館長」としてナビゲーター役で出演。You tubeで見られる↓
発掘!お宝ガレリア「黄金LOVE!展」
番組HP↓
http://www4.nhk.or.jp/P4006/
そして、今日発売の週刊朝日では、消費増税再延期について、ぶっちゃけて話してます。
この程度が、ストレス発散とは、私も寂しいねぇ。。(笑)