豊島逸夫の手帖

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米利上げ波乱

2016年12月15日


FRBは予想通り0.25%の利上げを決めた。
サプライズは、同時に発表されたFRB経済予測の中で、FOMC参加者の金利予測が相対的に0.25%前後、引き上げられたことだ。
前回(2016年9月)の2017年金利予想では、1.125%が7人、1.375%が1人であった。しかし、今回(2016年12月)金利予測では、1.125%が4人、1.375%が6人となっている。ここが、金利予測分布のなかで特に目立つ変化だ。
これは、2017年の利上げ回数予測が2回相当から3回相当に上昇したことを示す。米国マクロ経済指標好転、トランプ氏勝利後の世界的金利上昇傾向を映す変化と見られる。市場が長年低金利に慣れきってしまっているので、心理的インパクトも強く出がちだ。


債券市場がまず反応して、米国債利回りが2.5%近傍まで上昇。NY株価は原油安も懸念され下落した。そして、特に、外為市場ではドル高・円安に拍車がかかり117円台をつけている。

金は想定どおり、利上げで1140ドル台まで下落。
しかし円建てでは、円安による上昇効果が大きい。
利上げでも、結局、この程度だったね。


そして、市場のもうひとつの関心事は、トランプ次期大統領による積極財政・減税の影響であった。記者会見でも、聞かれていたが、当然、次期政権に関する事に言及することは出来ない。
この点は、トランプ氏次第ともいえるので、市場は、トランプ氏がツイッターでコメントするのではないか、と身構えている。
総じて、トランプ氏の存在が意識された記者会見であった。
くしくも、同じ時刻にトランプタワーでは、IT関連業界の主要各社トップたちが招かれ、トランプ氏との会議が開催された。市場の関心は、そちらにも向き、イエレン氏の記者会見の存在感が相対的にやや薄れたかのごとき印象さえ与えた感がある。
ポリシーミックスが積極財政と金融正常化の組み合わせにシフトした現実が改めて浮き彫りにされたイベントとなった。

なお、2016年9月と今回2016年12月の金利予測の変化を詳しく見たい人は以下の二つのFRB経済予測で、Figure2の表を比べるといいよ。


https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20160921.htm


https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20161214.htm


さーて、ビッグイベントも終わり、ふと気がつけば、ガーラ湯沢の積雪量が80センチ!!今週末、オープン! いよいよ、私の季節到来♪ 今週末は講演が入っていて行けないけど、来週は絶対初滑りゆくぞーー。もはや、仕事などやっている場合ではない(笑)。

2016年