2016年10月25日
ドルインデックスの50日移動平均線が200日移動平均線を上回る「ゴールデンクロス」が示現した。どうも、しばらくはドル高のモメンタム(勢い)が続きそうな情勢だ。
今回は特にユーロが売られドルが買われている。ドラギ総裁がECB理事会後の記者会見で、テーパリングの噂を何回も強く否定したことが効いている。ドル・ユーロの通貨ペアは、欧米市場で取引量が最も多く、ドルインデックスへの影響度も強い。
対して、日銀はフォワードガイダンスで追加緩和に消極的姿勢を見せているので、円安だが、そのペースはユーロ安に比し劣る。
とはいえ、総じて、米国と欧州・日本の金融政策方向性の違いが主因となっている。振り返れば、年初は、この金融政策の乖離現象が基本的ドル高円安要因として語られた。その後、米国の利上げペース鈍化、欧州・日本の「緩和不足」により、その乖離が縮小して、市場は反動のドル安となった。それが、年末近くになって、振り出しに戻っている。
いっぽう、FRB地区連銀総裁たちの発言からは、短期タカ派、長期派とトーンが感じられる。これは、年内ドル高円安、来年ドル安円高を連想させる。
まず、19日にはNY連銀ダドリー総裁が、「0.25%の利上げは、たいしたことではないnot a big deal。 年末にかけて、ファンドの商いが薄くなる時期の利上げが価格変動を強めるリスクに関しては、昨年12月の利上げもスムーズであったので、心配していない。」と答えている。
24日にはシカゴ連銀エバンス総裁が「来年末までに3回の利上げは市場に織り込まれているのではないか。」と発言。利上げ時期については、予測は難しいとしつつ、特定しなかったので、市場では11月の可能性も排除せず、と受け止められた。なお、同氏は「インフレターゲットを持続的に達成するためには、インフレ率はオーバーシュート、失業率はアンダーシュートも必要。」との認識を示した。
同日には、セントルイス連銀ブラード総裁も発言。「12月利上げはlikely ありうる。ただし、米経済の生産性は弱く、今後2~3年は低金利が続く。」と語っている。市場は、このブラード発言が12月利上げ確率を更に高めたと解釈している。
総じて、12月利上げの後は、当分利上げなしとのメッセージをFRBは市場に沁み込ませているようだ。
なお、今週発売の日経マネー「豊島逸夫の世界経済深層真理」では、最新悪徳商法の実態について書きました。大学教授とか、地方で先生扱いされている人が最近は引っかかる。だますほうのレベルがあがっている。普通の高齢者は、用心深くなっているから、分からないモノには手を出さず、引っかからない。