豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. トランプ氏発言、日本を北朝鮮から守るべきか
Page2391

トランプ氏発言、日本を北朝鮮から守るべきか

2016年7月22日

共和党大会開催中の20日に、トランプ氏がNYタイムズ記者との長いインタビューで、最新の本音を吐露した。

「ヒラリーは、I will never leave Japan 日本を去ることはない、と言う。でも、それを言ってしまえば、どうなると思う?もう交渉の余地がなくなる。私が彼らの立場であれば、どうせ米国が去ることはないのなら、なんでおカネを払う必要があるのか、と思うだろうね。」

日本の米軍基地費用負担問題に関する意見は変わっていない。

日本に関連して北朝鮮にも言及した。

「北朝鮮は狂っている。ミサイルテストを繰り返している。そこに我が国の兵士たちが座して見守っている。日本は北朝鮮から見れば恰好の位置にあるから、我々は日本を守っている。そこで、我々は自問自答する。我々が、それで得るものはなにか、と。」

北朝鮮による米国本土ミサイル攻撃を防ぐのではないか。米国側から撃ち落とすより容易であろう、との質問に対しては

「極東地区のミサイルは老朽化している。」

次に、ロシアについて。

「プーチンと私は非常にうまくゆくと思う。私はプーチンを誉めたことはないが、プーチンは私を誉めている。」

もし、ロシアがバルト3国に越境したら、直ちに軍事支援するか、との問いには「プーチンに私がどうするか知られたくないので、今は、話したくない。バルト三国はNATO参加国だが、資金負担していない。それなのに、我々はNATOに縛られる。」

ロシアがNATO参加国に侵攻すれば、米国は守るか、との問いには「彼らが義務を果せば」と答えた。

この発言は米国内では特に問題視されている。

第二次大戦後のNATOを核とした欧州安全保障体制を根本的に覆すかのごとき印象を与えるからだ。

多方面から批判が噴出するなかで、共和党の重鎮ギングリッチ氏は擁護にまわっている。「エストニアは、ぺテルスブルグの郊外の様な位置になる。そのようなところで、核戦争のリスクを招くようなことをすべきなのか。今一度、考え直すべきでは。」と語った。

ときあたかも、ドーピング問題で、ロシアのリオ五輪参加が難しくなってきた。プーチン氏は、政治問題化させる構えだ。西側の結束が揺らぐようなトランプ発言に、プーチン氏はほくそえんでいるかもしれない。

そして、気になる自由貿易協定については、NAFTAを引き合いに出し「NY、ペンシルベニア、オハイオ州などから製造業を流出させた。建国以来、最悪の貿易協定だ。」とこきおろした。TPPには触れなかったが、自由貿易協定に対する懐疑的見解は全く変わっていない。

インタビュー全文が公開されているので、今後、発言を修正しても、おそらく整合性をはかるのは難しいだろう。ペンス副大統領候補が火消しに奔走しても、限界があろう。

この米国主要メディアに流れたトランプ氏本音最新情報に接し、市場は、あらためてトランプリスクの重さを噛みしめている。

それから、昨日夕方、黒田発言で円相場が107円台から一気に105円台に急騰しました。そのときの@jefftoshima のツイッタ―コメントは以下の通り。

@jefftoshima

円急騰、黒田総裁、ヘリコプターマネー否定、107円台まで円安進行後、105円台に。

@jefftoshima

ポケモン載せたマネーヘリコプターは墜落。でもモンスターは健在サバイバル(^^)

@jefftoshima

今日のブログにも書いたが、海外市場では、日本のヘリマネをまともに考えてはいない。だから、黒田総裁が否定しようがしまいがお構いなし。結局、日銀やECBより、FRBの動きでドル円の一方向性も決まる。FRBは世界の中央銀行。そこの利上げ確率を市場は注目している。

@jefftoshima

そもそも、BBC黒田発言はライブではない。それに、黒田総裁は前回の日銀政策決定会合後の記者会見でも、ヘリマネを全面否定している。従来の発言を繰り返しただけ。イエレン氏が、全面否定まではせず、含みを残していることと対照的。なお、ヘリマネのような極論は否定すればするほど話題になるもの。

そして、金価格は1330ドル台まで戻した。

ほぼ本欄想定通りの展開だね。

最後に、先日、社団法人経済倶楽部で行った講演の記録ここで見られるよ↓

http://www.keizaiclub.or.jp/category/club/kouenroku/


旨いもん写真は、イチジクとオクラをあえた前菜。

2391a.jpg


法事で供された、お団子の数々。

2391b.jpg

2016年