豊島逸夫の手帖

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トランプ・ショックでマイナス金利も解消か

2016年11月16日

トランプ氏勝利で、イエレン氏も黒田氏もドラギ氏も、とりあえずは安堵しているのかもしれない。財政政策への期待が急激に強まったおかげで、金融政策への依存度は弱まったからだ。市場が注目する「高官発言」もFRB地区連銀総裁よりトランプ政権人事の有力候補者にシフトしつつある。昨晩も、次期国務長官と噂されるジュリアーニ元NY市長の経済紙主催イベントでの登壇発言が、「オーディションか。」と注目された。

この市場の流れが続けば、金融正常化を早期に達成する目途がつく。

特に、財政出動期待で米国債が売られ、ドル金利が上昇して、連鎖的に日欧の金利も上がってきた。なかでも、ドイツ国債の金利上昇が目立つ。このまま行けば、長期化覚悟のマイナス金利も想定外に早く解消されるかもしれない。

トランプ政権の経済政策も、積極財政・金融引き締めのポリシーミックス(政策の組み合わせ)との議論が強まっている。

米利上げも、インフレ期待が高まり、新興国経済不安を除けば、市場環境は熟してきた。現在進行中の「ハネムーン・ラリー(蜜月期間中の株高)」が発する高揚感により、利上げショックの懸念は薄い。

日欧金融当局も、自ら動くことなく、自国通貨安が実現出来ている。

マイナス金利深掘りを期待して国債を買い続けた投機マネーも、手のひらを返したように、「ソブリン(国債)は売り。」と言って憚らない。

もちろん、これをもって、マイナス金利という異常状態が解消されるというわけではない。

日本では、地銀はゆうちょ銀行などが、プラス金利の国債ならば、干天の慈雨とばかりに買いに入る。

ただ、市場の見方が、どこまで深掘りされるのか、から、どこまで正常化されるのか、という方向に転換しつつあることは指摘できる。

ワイルドカードは原油価格。日々乱高下を繰り返し、読み切れない。

そして、トランプ政権の孤立主義傾向が欧州に波及すると、EU分裂の懸念から、悪いユーロ売りとなるリスクもある。

いっぽう、金価格の急落は、代替通貨としての金の需要低下を意味するので、金融政策への信頼度好転を映す現象だ。「我々金融当局は金価格を金融政策に対する通信簿として注視しているのですよ。」という某中央銀行家の発言が印象的である。

いずれにせよ、イエレン氏、黒田氏、ドラギ氏「悲願」の金融正常化への舵きりに向かって、ハードルが、思わぬトランプ効果により、やや低くなりつつあるようだ。

そして、昨晩はNY金反発とドル高円安109円で、円建て金価格は上昇。金高・ドル高のダブル高。トレンドで見ても、ドル建て金価格の下落スピードより円安の速度のほうが上回る。

昨年、良く見られた光景だね。

今晩のワールドビジネスサテライトにまた出ます。

金特集。

今日の旨い物写真は、昆布巻きと海老芋。寒さも本格的になると、京都のエビイモも大きく育ちます。クリーミーな舌触り。エビイモ・ムースみたいな食感。

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昨晩は、お好み焼きに、濃いムースみたいな豆腐をタップリかけて食べたら、これが絶品だった。マヨネーズかけより好きだな。昼には、新蕎麦。

そして、私の部屋では、ネコちゃんが、毛布にくるまって、寝所占拠(笑)。

足がはみでているのが可愛い~~~。

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2016年